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キラキラ

第29章 バースト7


心臓を鷲掴みにされたかと思うほどの衝撃。

もう少しでまた跳ぶとこだった。
それくらい心臓がドキドキしている。


周りからみている人間から恋人というワードが出るなんて思わなかった。
はたからみて、そんなすぐに分かるくらい、俺らの雰囲気は違うのだろうか。


いや、それよりも……。


「あ、やっぱり恋人なんだ?あの黒髪の賢そうなイケメンくん」


どう答えたらよいのだろう?
……yesか?noか?


……でも、初対面の人間に何も話すことはないよな。

一瞬だけ迷ってから、俺はつとめて冷静な顔をして、口を開いた。


「……あなたに関係ない」

「ってことはやっぱり恋人か。そーかー。やっぱりお互いを見る目が違うもんなぁ」


言葉を濁して乗りきろうとしたら、そいつはニヤニヤしながら、核心をついてきた。


焦る。

素知らぬ顔をして流せばいいのに、変に馬鹿正直な性格上、全部顔にでているような気にすらなる。

どうしよう。どうしたらいい。


俺は唇をかんだ。

別に周りにばれても、俺はいいけれど、それによって芋づる式に風磨さんたちにまで何か迷惑がおよばないか。
翔に不都合がおきないか。

そんなことばかりが気になる。


「ね。その顔。やっぱり付き合ってんだろ?君たちゲイなの?」


「……違う」


「んなの、うそじゃん?絶対。あの黒髪の子、相当きみに入れあげてるようにみえたけど?」


「……そんなことない」



そんな……興味本位で俺らの関係に土足で踏み込むな。


翔の優しい笑顔が頭をよぎる。


俺は、早くその場を離れたくて。
これ以上、話をしたくなくて。
高鳴る心臓で頭痛すらしてきて。

しまいには息苦しくなってきて。



「……別に……ゲイじゃないし。付き合ってなんか……ない」


……言っちゃいけないことを言ってしまった。


そいつの顔が、にやりと歪んだのを見て、即座に後悔するが、からからに乾いた口は、それ以上の言葉を紡げない。


小さく深呼吸していたら、


「じゃあさ。俺とつきあわない?」

「……は?」


あまりにもトンチキな事を言い出したものだから、思わず変な声が出てしまった。


「俺さ、どっちもいける人なんだよね。ちなみにきみは俺の超タイプ。ね、どう?俺、優しいよ?」


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