
キラキラ
第29章 バースト7
家の近くのスーパーで、母さんに頼まれていた牛乳を買うために売り場を訪れた。
いつもは高いメーカーの牛乳が、売り出しで安くなっている。
いつもレギュラーで購入してる品物とどちらにしようか、主婦みたいなことを考えて、じーっと吟味していたら、ぽんと、肩を叩かれた。
「?」
何気なく振り返って、ギクリとする。
「やあ」
そこには、本屋で声をかけられ、映画館でも出会った男が……それは爽やかに佇んでいた。
「奇遇だね」
「…………」
言われて、俺は顔がひきつるのを感じた。
……だって。おかしくね?
こんな短期間に、こんな広いフィールドで三回もニアミスする?って話。
……気味が悪い。
「この辺なの?家」
俺は、それには答えず、警戒レベルをあげて、目の前の男から、さりげなく距離をおいた。
相手にしないのが一番な気がする。
そうして、俺がそのままその場を離れようとしたら、そいつが、はははっと笑った。
「そんな嫌わないでよ。……えっと、そうだな、菊地って知ってる?」
……菊地。
風磨さんのことかな。
立ち去ろうとした体は、知った名前に、動きを止められ。
俺は、ゆっくり振り返り、改めてそいつを見た。
興味がないからあまり気にしてなかったが、そこそこ整った顔してる。
白シャツにジーンズという、相葉くんみたいな格好をしてるから、年若くみえるが、風磨さんの話をしてきたということは、やはり最初の印象どおり、年上なのだろう。
ニコニコと浮かぶ笑顔には、とりあえず敵意は感じられないけど………。
「菊地と友達なんだ、俺」
「……」
「君、こないだの俺らの学校の学祭来てくれただろ?」
「……はい」
「実行委員会につかまってただろ?」
「……はい」
「見てたよ」
「……」
「目立ってたもん、君。途中で、お仲間が迎えに来てたみたいだけど……イベント出なくて残念だったよ」
「……」
「あの人どういう関係?」
……あの人って、誰のことだろう。
「あまりにも親密だったから……まるで、恋人みたいにみえたけど?」
