
キラキラ
第27章 かげろう ~バースト6~
そういう行為を久しくやってなかったこともあるのだろうが、受け入れる側は、もう少しセーブしないといけないな、と、ベッドの中で痛感した。
すっごくコーフンしたもの。
智さんとしてたときは、こうはならなかった。
きっと、智さんは、上手に手を抜いてくれていたのだろうな……とも、思う。
思い出したら赤くなりそうな顔を、あわててシェイクを飲んで誤魔化した。
マクドを出て、駅前広場に向かう。
待ち合わせに、大野家と相葉くん家の、中間くらいにある駅を選んだから、ここから別々の路線に乗って帰る。
でも、何となく別れがたくて、今、やってるゲームの話とか、バスケの話なんかをしながら、ズルズル立っていたら、相葉くんが、
「……あ」
と、声をあげた。
「?」
その視線を追えば、待ち合わせ場所に使われる時計台の端に、見たことある人物が佇んでいた。
整ったパーツのなかでも、目はとびきり甘く、まさしく王子様な風貌で、彼の立ってるそこだけ、キラキラと、目立ってる。
当の本人はまるで自覚なく、穏やかな表情で、手元のスマホを弄ってる。
「中島さん……だよね」
「だね」
あの衝撃の結末の学祭の日以降、一度も出会ってない。
だけど、翔さん経由で、パートナーの方と仲直りできた、と聞いていたから安心はしていた。
「どーする?声かける?」
「……そうだね」
と、二人で歩み寄ろうとしたら、ちょうど電車が到着したのか、改札から、どっと人が吐き出されてきた。
その中から、長身の男性が、中島さんに歩み寄るのが見えた。
忘れもしない、学祭の日にイベント会場から、中島さんを連れ去った……
「風磨さんだ……」
明るい髪の毛に涼しい目元。
中島さんとは、また違う王子様タイプの目鼻立ちをしている。
彼の中島さんに向ける眼差しは、優しい。
そして、嬉しそうに頬笑む中島さんも、また幸せそうで。
その甘い雰囲気に、関係性がもとにもどったのは明白だった。
その二人は一言、二言、言葉を交わし、肩を並べて街中に消えていった。
「中島さん……恋人の前ではあんなに綺麗に笑うんだね」
思わず言うと、
「幸せな、証拠だね」
相葉くんが頷いた。
