
キラキラ
第27章 かげろう ~バースト6~
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「ほらね。俺が言ったとおり大丈夫だったろ?」
穏やかな声音。
学校帰り。
部活の終わる時間を見計らい、相葉くんを呼び出して、二人でマクドに来た。
結果報告という動機はあれども、平日に相葉くんに会えるのは嬉しくてちょっとうきうきしてしまう。
合服期間だから、ブレザーを脱いで、カッターを腕まくりしてる相葉くん。
覗いた筋肉質な腕が、かっこいいと、ときめいてる乙女な自分に、我ながら引く。
俺は、シェイクの入った容器を握り、もう一度うん、と頷いた。
「……俺が決めたことは応援するし、気がすむまで大野家にいていいって、智さんが言ってくれた」
智さんたちに、居候延長をお願いして、快諾してもらったことを話すと、大きな口でバーガーを食べながら、相葉くんは目を細めて笑って、良かったね、と言った。
「だいたいあの二人が、かずを断るわけないじゃん」
「え……でも俺がいたら迷惑かけてるし……」
「そう思ってるのはかずだけだよ。誰も迷惑だなんて思ってないよ」
そうかな……
だけど、今と同じ台詞を、まんま翔さんに言われた。
かずがいてくれた方が楽しい、と。
弟ができたみたいで嬉しいから、と。
胸がいっぱいになり、ありがとうと頭を下げることしかできなかった。
まあ、そのあと、同じ大学にくる気なら、もっと勉強しろ、と釘をさされたけどね。
「てゆーかさ、かず、あの日あのあと大丈夫だった?」
「……え?」
「腰」
「え、うん。大丈夫……だった」
「ほんと?もー心配したよ~」
照れくさそうにする相葉くんに、嘘をついた。
ほんとは、次の日、体は全く使い物にならなくて、学校を休んだんだよね。
頭が痛い、と、初めて仮病を使った俺に、熱はないんだけどなぁ……と、意味深な笑みを浮かべながら、翔さんは学校に欠席の連絡をしてくれた。
そのあと、ベッドから起き上がれない俺に、鎮痛剤と、何故だか湿布薬を持ってきてくれた翔さんには、きっとバレバレだったんだろうけど。
