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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


中島さんには、もっと、わがままになってもいいんじゃないですか、って、偉そうなこと言ったけど、それは、実際はものすごく勇気のいることだ。

でも、あの様子だと、きっとあの人はそれをしたんだね。


……良かった。


気持ちを伝えることって、本当にデリケートでむずかしい。

好き、の気持ちを相手に伝えるのはもちろん、相手に触れてほしかったり。
俺みたく、居候し続けたいことを相手に伝えたり、することですら。

相手がどう思うかなんてわからないもの。

拒否されたら、って考えるだけで、身がすくむ。

でも、それでもそこで踏ん張って、相手の目を見て話をすることこそ、きっと一番大事なことなんだろうね。


テレパシーの能力なんて、そこには必要ないんだ。


俺が、心理学を学びたい、と思ったのも、そもそも人の心というものにとても興味があったから……。




ぼんやりしていたら。


「かず」


遠慮がちにかけられる言葉。



「……ん?」

「読んで」

「……え?」

「俺の心」

「なんで……」

「いーじゃん、ちょっとだけ。早く」



なにが、いーじゃん、なの?

よくわからないまま、条件反射的に意識を研ぎ澄ました。




ダイスキ。
また、エッチしよーね。
そのぽやんとした表情、ちょーそそる!



「……っ!」


かっと赤くなり、相葉くんを見上げたら、相葉くんはいたずらっぽく笑って、舌をだした。
そして、言うことには。


「テレパシーって便利だね、かず」



……え。チカラって、こんな風に使うものなのかな!?


……俺は、相葉くんの悪びれない笑顔をみて、思わず一緒に笑ったのだった。



fin.




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