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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


「…ま、俺は帰るね」


はあ、とひとつため息をつき。

気を取り直した潤くんが、そのまま笑顔で手を振るから、驚いて、俺は、大野家の扉を指した。


「え、寄っていかないの?」


翔さんに会っていけばいいのに。

そんな思いをこめて問えば、潤くんは照れたように首を振って、寄らないよ、と言う。


「というか。実は俺らもちょっと前に解散して、それぞれ家に帰ったとこだから」

「……そうなの?」

「うん。……それに、会ったら帰りたくなくなっちゃうじゃん?」

「ふふ…」


そうだね。

俺は肩をすくめた。

翔さんにベタぼれな潤くん。
最近じゃ、照れながらも素直に気持ちを見せるようになってて、見てて気持ちいい。
可愛らしいなって、思う。

……俺もこんな風にもっと素直になりたいな…。



「……かずも。今日はなにか頑張ってきたことがあるんでしょう?」

「……え?」

「詳しいことは知らないけどさ。翔が、言うんだ。今日はかずの帰りを迎えてやりたいって。だから、俺たち早く解散したんだよ」


潤くんが優しい眼差しで俺を見つめている。


翔さんが……俺を迎えたい?


「……智さんも、いつ連絡あっても動けるように、1日ずっと家にいたって。…何があったのか知らないけど。早く顔見せてあげな?」


「……」


うそ。

智さんも翔さんも、自分の予定を調整してまで、俺の帰りを待っててくれてんの?

じわじわと、ゆらいできた目の前の風景。
瞬きを繰り返して誤魔化そうとするが、でてきた鼻水は誤魔化しようもなくて、静かにずずっとすすりあげた。


……なんて優しい人たちなんだろう。


智さんも翔さんも。

こうして俺を気にかけてくれる潤くんも。

俺の思いを、まるごと受けとめてくれた相葉くんも。


みんなに甘えてばかりじゃん、俺。

…しっかりしなくちゃね。


「…ほら。泣いてちゃだめだよ」


優しい潤くんの言葉に、俺は、うんうん、と頷いて、ごしごし顔をこすった。


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