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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~





「……で。俺が呼び出されたわけ?」


あきれたように腕を組んでる潤に、俺は、正座したまま、ごめん…と頭をかいた。


「だって…今日が土曜日なら、このまま俺んちに泊めちゃうけどさ。明日はみんな学校だし…智さんたちに心配かけちゃうし…」


しどろもどろで言い訳する俺に、潤は、にやり笑って、ふーん、と言った。





あれから、痛がるかずを支えながら、なんとか服を身につけさせた。

優しく抱いたつもりだったけど、これだけ痛がるってことは、やっぱりどこか無理させたんだろうな。

この状態で、駅まで歩いて、さらに電車とかありえなくない?

俺が一人で焦っていたら、かずは、申し訳なさそうにうつむいて。

「ごめんね、こんなはずじゃなかったんだけど…もう少しだけここにいてもいい…?」

小さく言う。

そんな彼の華奢な肩を抱き、俺は、少し迷って親友の携帯に連絡したのだ。





「この貸しは高くつくかんな」

潤に、いたずらっぽく指をさされ、面目ない、とうなずいた。

高校生に、車が運転できるわけもなく。
はたまた、大野家のマンションまで、タクシーを呼ぶほどの財力があるわけでもなく。

一人で歩くことも難しそうなかずを、安全に送り届ける術なんて、もう潤しか思い浮かばなかった。


「……で?これはうまくできたが故の、体調不良なわけ?」

かずを促して、立ち上がらせながら、潤は探るような目になり笑った。

「……」

かずが真っ赤になって俺をみるから、俺は、苦笑いして、かわりに口を挟んだ。

「できた…けど。かずが、こんなにダメージうけるなんて思わな…」

「あいばくんっ」


馬鹿正直に結果報告をする俺に、かずが怒鳴って遮った。

潤はおかしそうに肩をゆらして笑って、俺にパチンとウインクしてみせた。

「…よかったな」

「うん…ありがと」


俺が、かずとの関係を深めたいと思っていたことは、潤もうすうす感じてはいたみたいで。
照れ臭い気持ちで、うなずく俺の横で、かずは、ひたすらうつむいてる。


恥ずかしいんだろうな。
誘ったのは、かずだってのは、黙っとこ。



潤は、じゃあ帰るわ、とかずの手をとった。


「うん。ありがと。かず、またね」

手を振ると、

「…またね」

かずが、ようやく顔をあげて微笑む。


…瞬きすると、二人の姿は消えていた。

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