
キラキラ
第27章 かげろう ~バースト6~
はぁ…はぁ……と、二人で、息をして見つめあった。
全力疾走してゴールをしたような、達成感と。
ようやく結ばれた幸せな気持ちと。
ちょっとの照れ臭さ。
俺は、ぼんやりした目をしてるかずに、静かに口づけた。
「かず…」
そっと問いかければ、かずは、我に返ったように、俺の顔を見返してきた。
澄んだ茶色の瞳。
ぽっぽっとした頬は、ほんのりピンクに染まってる。
汗ばんだ額。
すべてがいとおしいよ。
「かず…大好き」
もう一度キスをした。
かずは、ふわりと、微笑んで俺の首に腕をまわして、俺をぐっと引き寄せた。
「俺も。好きだよ」
そうささやいて。
ぎゅうっと下から抱き締められた。
初めてキスをしたあの日から、またひとつ、深い関係に進んだ俺たち。
一つ一つステップを踏むたびに、相手を思う気持ちのキャパも大きくなってる気がする。
どんどんどんどん…好きになるよ。
俺たちは、どちらからともなく笑いあい、繋がったまま、何度もキスしたり、見つめあったりして、甘ったるい余韻に酔いしれていた。
「…そろそろ、母さん帰ってくるわ」
俺は、机におかれた時計に目を走らせ、体を起こした。
後始末もしないといけないし、何よりも、息子が、可愛いかずくんと、裸で抱き合ってるとこなんか見られたら、卒倒しかねない。
「……そういえば。お母さん、どこ行ってるの?」
「弟の塾の保護者会っつってた。でもそろそろ終わるから……抜くよ」
「……ん…ぁん」
自身を引き抜くと、かずが、色っぽい声をあげた。
お。そんな声あげちゃう?
「……感じた? 」
「……うるさいな」
かずは、真っ赤になって、ふい、とそっぽをむいた。
からかうと可愛い反応を見せてくれることも、発見。
「ふふ…ごめんごめん。おきれる?」
そっと、体を支えて起き上がらせようとしたら、かずが、顔をしかめた。
「……った…」
「……大丈夫?」
「大丈……っっう」
かずが、俺の腕をぎゅっと握った。
痛みにたえるように、深呼吸してるかずに、心配になる。
「え…?痛い?どこ?」
「腰……」
弱々しく涙目で訴えるかず。
慌てて、その体を、もう一度ゆっくり横たえた。
重力がかかると、辛いのだろうか。
