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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


「あ…あっ……あいばくん…」

切羽詰まった声音に、再び目をやれば、かずがふるふる首をふり、焦ったような目で俺を見下ろしていた。


「……ん?」

「あの…」

「…どうした?」


口ごもるかずに、ぴんときた。

やっぱり嫌になったのかな…。
だよね、恥ずかしいよね。


俺は体を起こして、精一杯余裕の顔をして笑んだ。


「ごめんごめん…これ以上はやめとこか?」

「ちっ……違っ」


かずが、ひときわ首をぶんぶんふり、俺の腕をつかんだ。
そのつかむ手の強さに、彼の訴えを感じて。


「……かず?」


……なに?


「あの……」


かずが、唇をかんだり、吐息をついたりして言いよどんでる。

よっぽど言いたくないのだろうか。
心配になった俺は、ちゃんと座って話をきこうと、かずの上からどこうとした。

瞬間、パンッと頭にかずの声が響いた。


『抱いて』


「……!」


俺は動きを止めた。
なんならその瞬間、息もとまったかもしれない。


『…して。抱いてよ』


口にできないから、なのか。
クリアな想いを、テレパスで俺に伝えてくるかず。

俺は返事をするのも忘れて、バカみたいにボケッとかずを見つめた。


『早く…俺に触れて』


かずは、つかんだ俺の手を引っ張り、自分の胸にあてた。
手のひらからトクトクと感じるかずの鼓動。
少し早いそれは、かずの緊張も表してるみたい。

一瞬フリーズしたのち、我にかえった俺は、


「え…っと」


と、呟いてかずを見つめ続けた。
かずは、潤んだ瞳で、俺を真っ直ぐ見つめ返した。


次に俺は導かれた自分の手を、見つめた。
かずの白い細い手が、俺の手をつかんで、胸にある。

俺はその手を少し動かした。

かずが小さく微笑んだみたいだった。


「………!」


俺のなかでなにかが弾けた。

かずに覆い被さり、その笑んだ唇に自分の唇をぶつけるようにくっつけた。

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