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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~



「…忘れないで。みんなかずが大事だよ」

囁いたら、かずが、俺の背中に手をまわしてしがみついてきた。
その小さな熱い体を、ぎゅっと抱き締め返す。

…しばらくして、かずは小さく言った。


「…相葉くんは?俺のこと大事?」

「あたりまえじゃん」


被せるように断言した。
つか、そこは心配しなくてもいいんじゃない??

俺の腕のなかで、ゆっくり呼吸している愛しい人。
もし抱き締める腕の強さで、それが伝わるなら、俺、かずを抱き潰しちゃう自信あるけど。


「……」


かずは俺の胸に頭を預け、黙っていた。
しんとした部屋に、時々かずの鼻をすする音が響く。

トクントクンと二人ぶんの心臓の音が重なる。
やけに静かな家のなかは、そーいや、母さんは弟の塾の保護者会にでかけるっつってたな、と思い出したりして。


…しばらく黙って二人でそのままでいた。

儚いかずの姿がたまらなくなって、その背中にもう一度触れようと腕をあげたとき。


『キスして。相葉くん』


ふいに頭に響いた言葉。
俺は目を見開いた。



『俺を…求めて……』


思わず腕のなかのかずを、見下ろした。
かずも俺を見上げてた。
涙に濡れた瞳で、じっと俺を見つめて…。


試されてると思った。
でも…


俺は、微笑み、頷いて、顔を近づけた。
かずが上向いて、目を閉じたのが分かって。


『大好きだよ』


全身で返事をしてあげる。
聞こえる?
俺の全部で、かずが大事って伝えてあげる。

かずのその柔らかな唇をふさいだ。
啄むようにチュッ…と音をたて、少しあいてるかずの口のなかに舌をさしこんだ。

ディープなやつ。

俺も初めて。


どうやんの?と思っていたけど、その場になったらどうにかなるものだ。

愛しいと思う気持ち。
愛を注いで、キスを仕掛ければ、それは必然的に情熱的なものとなった。

「……んん…っ…ん」

「……ふっ………んん」


舌を絡めあうってこうやるんだ。


かずの唇は甘くて。
唾液すら甘くて。

冷静に、と思えば思うほど、目の前のかずに翻弄されていく。

とてつもなく気持ちいい。

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