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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


広場の端っこにあるベンチに、小さく座ってるかずを発見して、ほっとする。

だが、近づくにつれ、そんなかずの細かな様子が見えてくると、胸がざわめいた。

憂いの含んだ瞳で、ぼんやりと行き交う人々を見つめているかずは、触れたら消えてしまいそうな儚さをもっていて。

……どうしたの?


「…かず?」


驚かせないようにそっと近づいて、その顔をのぞきこんだ。
かずは、驚いたように目をあけ、さっきまでの表情を隠すように笑顔をみせた。


「…相葉くん」

「どうした?」


全力疾走の息を整えながら、隣に座った。


「…なんでもないよ」

「なんでもなくない顔してるよ…?」

「…相葉くんの顔がね。見たかっただけ」



…信じれないくらい嘘が下手だ。

もし俺が、かずと同じテレパスのチカラを持っていたとしても、使うまでもないくらい、一瞬で看破できちゃうよ。

これは騙された方がいいの?
それとも吐き出させた方がいいの?


俺は、かずをじっと見つめた。
かずは曖昧に笑って、おれの視線から逃れるようにうつむいた。

その瞬間に俺の心は決まった。


「かず、俺ん家おいで」

「…え?」

「こっから10分くらい歩くけど。ほら」


腕をとり歩き出そうとしたら、かずは、ふるふると首をふり抵抗してきた。


「いや、いい」

「よくない。いいからおいで………あ、もしもし、母さん?ごめん、やっぱ夕飯いる。で、友達も連れていくから、一緒にいい?」


かずの細い腕をつかみながら、片手でスマホを操作し自宅に電話をかけた。

かずは必死に首をふるが、俺は強引にその体を引っ張り歩き出させた。

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