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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


「いやー!可愛い!あんたの友達にこーんな可愛らしい子いたなんて知らなかったわー!」


玄関先で、いきなり母さんに感動されて、かずは、一瞬戸惑うような顔をみせたが、すぐによそゆきの笑顔をうかべ、


「…二宮といいます。突然お邪魔してすみません」


と、礼儀正しく挨拶をした。

その態度に、母さんはますます顔をほころばせて
いーのよいーのよ、と手をふった。


「山のように唐揚げを作ってるから、一人も二人も一緒。さあさあ、あがって」


妙にテンションの高い母さんに引っ張られ、かずは、お邪魔します…と言いながらダイニングに連行されてゆく。

そーいや母さんは、無類のイケメン好きだったことを思い出し、俺は苦笑いしてそのあとに続いた。




「もー食べらんない…」


お腹をさするかずに、笑いがこぼれた。

母さんが、あれもこれもと出してきては、さあさあお食べなさい、と、すすめるものだから、断りきれないかずは、だいぶ無理して食べたみたい だった。

見かねた俺がストップをかけ、ちよっと部屋でゆっくりするわ、と、かずを自室に連れてきたのだ。


「相葉くんの部屋初めて…」


かずが物珍しそうに見渡す。
俺は、まさかかずが来るとは思ってないから、もっと普段から掃除しとけば良かった、と後悔した。


「意外と綺麗に片付いてるんだね」

「意外とって…」


クスクスと笑って、床に座り込むかずの横に、俺もあぐらをかいて座った。


「いいお母さんだね」

「うるさかったろ。ごめんな」

「そんなことない。…嬉しかった。ありがとう」


言って、微笑むかずは、さっき駅前で会った時より、大分落ち着いてるようにみえた。
俺は、膝におかれたかずの白い手を、そっと握った。

教えて。かず。
どうしたの?


「……なにかあった?」


かずは、ゆっくりした動作で一度顔をふせて……俺を見た。


「…俺が智さんのところにお世話になるきっかけになった話……したことあった?」

「…ないよ」


なんとなく、触れちゃいけない話なのかとおもって。
かずが言うまで聞かないでおこうと思っていたよ。


そう告げると、かずは、そっか…とうなずいた。


「…ちょっと長くなるけど、聞いてくれる…?」


そう前置きして話し始めたその内容は、俺が想像する以上にヘビーなものだった。




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