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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


心があたたかくなったら、体もあたたかくなった気がする。
カーディガン脱いだって、俺、ちっとも寒くなんかない。

それよりも、俺は、せっかく握った手を離すまい、と、かずの手を、しっかり握り直した。
かずって、まるっこくて、子供みたいな可愛い手をしてるんだよね。
ドキリとするような表情するくせに、そのアンバランスさがたまらない。

これだけでも、じゅうぶんドキドキするし、幸せかも……。

そっとかずをうかがい見たら、かずは、照れたような顔で、うつむいていた。


ふふ。可愛い。



やがて、パンパンという軽い音とともに、夜空を花火が彩り始めた。

つと、二人で顔をあげて。

俺たちは寄り添って、華咲く空を見上げた。




パレードも花火も終わってしまうと、人混みは三々五々ばらけてゆく。

閉園も間近になると、最後の最後までアトラクションをまわりたいもの、お土産を買いに走るもの、名残惜しくも家路につくもの、様々で。

俺たちはというと、…なんとなく黙って手を繋いだまま、園内を歩いていた。
所謂恋人繋ぎってやつのまま。
これはこれで、すごく嬉しい。

もちろんアトラクションはまだ動いてるわけだから、灯りはあちこちついているが、少し建物から離れたら薄暗く、しかも、昼間より人が格段に減っている道には、俺たちの様子を気にするものなどいなくて。


意識しだすと、とたんにドキドキしてきた。

手汗がすげーんだけど…!


かずは、さっきまでの、はしゃぎっぷりとはうってかわって、黙ってうつむきがちに歩いてる。

でも、繋いだ手をはなそうとはしないから、嫌がってはいないよね。

自分に言い聞かせながら歩いていると、次第にクスクスかずの肩が揺れ出した。

「……かず?」

「ふふ…っ…」

「なに…どしたの」

「だって…ふふ…だって、相葉くん、すっごい緊張してるから…」

「え、ちょっと、そこ笑うとこ?!」


俺は、しっとりしかけていたムードが、変わってしまったことに、ちょっと、抗議する。

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