
キラキラ
第27章 かげろう ~バースト6~
定番のお化け屋敷も。
夕暮れ時の、木立の中も。
潤に…まあ、正確には翔さんの指示だが……に聞いていたシチュエーションは、幾度となく訪れたけれど、それはそれは、清く正しくスルーして、俺たちは全力で遊び続けた。
次第に、太陽がおちた園内は暗くなってきて。
お互いの顔が見えづらくなる。
やがて、完全に空が闇に包まれると、賑やかな音楽が鳴り響き、キラキラした光の海とともに、パレードが始まった。
実はこれも、絶好のチャンスなんだって。
観客の目が、上に集まるから、下で何しても目立たないって。
でも……。
「見て!綺麗。すごいー!」
キラキラ輝くフロートを、満面の笑みで見上げ、見物しているかず。
そんな彼の視線を、こちらに向けさすのは、申し訳なくさえ思えてきたよ。
「ね。綺麗だね」
相づちをうって、一緒に視線を上向けた。
本当は…時々光に浮かび上がる歓喜に満ちたかずの笑顔こそすごく綺麗なんだよ?
でも、その笑顔を見ていたいから、俺はキスできなくたって、このままでいいや…。
そんな風に思いながら、俺は、パレードを見ながら、ちらちらかずも見ていた。
そしてふと気づく。
かずが、時折寒そうに体を縮こまらせてる。
昼間は暖かった気温も、太陽が落ちたとたんに一気に下がってきた気がするもんなぁ…。
七分のニットの袖からでる白い腕を、無意識に擦るかずの仕草に、俺は着ていたロングカーディガンを脱いで、かずの肩にかけた。
かずが、弾かれたように俺を見上げ、脱ごうとする。
「……!いーよ、相葉くんが寒いじゃん」
「俺は体温高いから平気だよ」
囁いて。
戸惑うように俺を見上げるかずを安心させるように、俺は少し距離を縮め、カーディガンの隙間から見えるかずの冷たい手を握り…するりと指を絡めた。
「……っ」
かずが、息をのんで、俺を見つめた。
「…あったかい?」
ニッコリ笑って、かずの手をぎゅっと握った。
かずは、「…うん」と、頷いて。
照れたように、俺の手をきゅっと握り返してきた。
密着してる俺らが手を繋いでるかどうかなんて、誰も分かりはしないね。
とたんに、ホカホカしてきた胸。
かずと繋いだところから、温かい気持ちが伝わるよ。
