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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~




「相葉くん、あそこあいてる」

空いたベンチに二人で座り、買ってきたバーガーで昼ご飯にする。


「…うまっ」

「ほんとだ。美味いね」


もくもく口を動かしながら、笑いあった。

人気のアトラクションを避け、数を稼ぐ戦法でまわった結果、午前中だけで、だいぶ園内をまわることができた。

なかには、子供をターゲットにしたような穏やかな乗り物もあるなかで、かずは本当に楽しそうに笑っていた。

非日常な空間だからか、いつも以上に素直に感情を見せている気もする。

弾けるような無邪気なかずの笑顔に、何度キュンキュンしたか分からないよ…。


くそー…!可愛い!


だけど、いつもよりはしゃぎ気味なかずに、少しだけ心配になった。
そっと横顔を盗み見る。


「…かず、大丈夫?疲れてない?」

「大丈夫だよ。心配性」


ふふっと笑んでぱくりとバーガーを食べるかず。

俺は安心して、一口で残りをたいらげ、咀嚼しながら、空を見上げた。


……潤に教えてもらった、チュウスポット。

恋人とイチャイチャしやすい場所とシチュエーションは何個か聞いてきた。


そもそも奥手な潤がなんでこんなことを言い出したのかと言うと、翔さんの指示らしい。

もどかしい俺らを、たきつけてこい、という指令を出されたんだそうな。

大きなお世話と一蹴したいとこだけど、そろそろかずとの関係を深くしたい俺にはありがたかった。


……でも。


俺は、ジュースを飲みながら、園内図を手に、次に行くところを考えてるかずを見て、まあ、いっか、と思った。

キスしたいのはやまやまだけど、そればっか考えるのがもったいないくらい、今日のかずは自然体。

小さい子供のように、心からこの空間を楽しみたい思いの人の前に、邪な感情を抱いてるのが、後ろめたく思えてきて。


なんか…なるようになるよね。こーいうのは。


もっと深く仲良くしたいけど、それは今じゃない気がする。

そーでしょ?かず。

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