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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


Masaki


中間テスト前だから、この時期、部活動はない。

早く帰って、テスト勉強にいそしみなさい、ということなのだが、真っ直ぐ帰っても、きっと勉強なんかしないで寝てしまうだろうな。

そう思った俺は、テスト前くらいしか、めったに行かない図書室に向かった。


俺と同じような考えの生徒は多いのだろう。
いくつかあるテーブルは、ほぼ満席で。

どうしたものかと思っていたら、遠くに見覚えのあるキラキラオーラの男を発見した。
あいつの隣の席の荷物をどかさせて座ろう。

俺は、静かに歩み寄っていった。


「隣、いい?」

そっと問いかければ、誰も近寄るなと言わんばかりの怪訝な顔をあげた潤の顔が、なんだ、雅紀か、と、ホッとした表情になった。


「…珍し。誰かと思うじゃん」


言いながら、自分のリュックを足元の床に落として、席をあけてくれたから、そこに滑り込んだ。

俺もカバンを開けてあれこれ出しながら、苦笑して、ひそひそとつっこむ。


「潤だって。勉強するんだな、お前」

「大野家の人たちに約束させられてんだよ…」


潤はぼやく。


「全教科平均以上とってこないと、期末までのデートは、勉強会にかわるって」

「ははっ」


大野家の人々に、勉強をおしえてもらってる潤は、一時期より大分成績はあがったみたいだけどな。
でも、きっと、もともと物覚えは悪くないはずなんだ。

料理できるやつに、頭悪いやついないんじゃね?が俺の勝手な持論。
俺だって、平均くらいはとってるしね。

周りも静かだし、潤の邪魔もしたくないし、で、ノートを開いた俺は、ソッコーそのままテキストとにらめっこを始めた。

潤もだまって、化学式を書き綴ってる。


……しばらくして。
潤にツンツンと腕をつつかれた。

「?」

と、視線をやるとノートをちょいちょいとさされる。
空いたスペースに、


《夢の国、いついくの?》


俺は、その横に、


《中間終わってすぐの土曜日》


と、書いた。
すると、潤が、にやっと笑って、さらさらと書いた言葉に、心臓がドキリと鳴った。


《ちゅースポット教えるよ。まだ、かずとしてないんだろ?》


思わず、潤の顔を見た。

潤は、いたずらっぽくウインクした。


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