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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


「いいなぁ。楽しそうだったみたいだね」

休日出勤だった智さんがのんびりとビールの入ったグラスをかたむけた。

「まあね」

翔さんが、ふっと笑って二缶目を智さんに差し出すと、智さんは、ありがと、と笑った。

翔さんの得意料理のひとつであるロールキャベツは絶品。
透き通るようなピカピカのコンソメスープも美味しくて。
相葉くんもぼやきながらも、モリモリ食べてる。

そんな横顔をながめて、俺もパクリと箸で小さく切った柔らかなキャベツを口にした。

「で、かず、いつ行こっか?」

相葉くんが朗らかに笑う。

その夢の国は、高校生が払うには少しばかり値がはるから、普段デートで行くことはない。
だけど、場所柄、男二人で行ってもおかしくないほどの広さと、非現実な世界だから、少し楽しみなのも事実だった。

「…いつでもいいよ」

にやけそうな顔を我慢しながら答えた。

「そう?じゃあまた連絡するね」

ふふっと笑って、グラスを手にとった、相葉くんのその手に目を奪われる。
温かくて、大きかった手のひら。

もう一度手を繋ぎたい。

相葉くんと触れあいたい。


夢の国で、それは叶うだろうか。


翔さんが、潤くんの肩に触れて、二人で笑いあってる。

そんな様子を少し羨ましく見ている俺を、相葉くんがじっと見つめていたことには気がつかなかった。

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