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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


驚くのも束の間、突如、中島さんのドタキャンというありえない事態に、右往左往してる法被部隊が、俺らのところに助けを求めてくるのは、もう必然だった。


潤くんを、絶対出演させない翔さん。
もちろん自分も出ることはない。

そして、俺も…相葉くんに、出ないで、と釘をさされてる。

結局、法被部隊の土下座ばりの願いを聞いたのは、人のいい相葉くん。

苦笑いして、行ってくる、と法被と一緒に走り去ってゆく相葉くんを止めることはできなかった。

俺だって…俺だって。
相葉くんに出てほしくなんかないけど…!

でもこの状況を収集するには、それしかないのも分かっていて。

潤くんが、ごめんな、と小さく呟いたから、ほんとだよ、と、少し拗ねてみたのは許してよね。


結果。


爽やかな高校生という、うたい文句がついた相葉くんは、見事グランプリをかっさらってきた。
そして、めでたく夢の国のペアチケットもgetできてしまったのだった。




「もう…潤のせいでエライ目にあったよ… 」

恨みがましく、相葉くんがぼやいた。

学祭から帰宅して、大野家でみんなで夕飯を食べている。
早朝から仕込んでいた翔さんお手製のロールキャベツを頬張りながら、潤くんが、いたずらっぽく、笑った。

「俺のせい?」

なんていうから、

「潤くんのせいだよ!」

と、俺も突っ込んだ。
そんな俺らに、翔さんが、すまして言った。


「まあ、でも、良かったじゃん?相葉くんグランプリとれたし。賞品で、デートもできんじゃん」

「結果論でしょ?ただのピエロになる可能性だって十分にあったじゃないですか!」

相葉くんがかみついた。

「……」

でも俺はその点に関しては、そうは思わない。
でるんだったら、相葉くんは優勝するって、分かってたもん。


…あれから結局、中島さんは姿を消した。
風磨さんも、自分の出演する舞台の始まる直前に帰ってきたが、終わったら、すぐにまたいなくなった。


だけと、翔さんのスマホに、風磨さんから、

「すまん。今度きちんと説明するから」

とだけ、入ってきたものだから……俺らも安心して、学祭をあとにした。

だって、帰ってこない中島さんが、全てを物語ってるよね。
嫌だったら、避けられてたら、中島さんからすぐに翔さんのところに連絡があるはずだもの。

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