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キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


俺は、中島さんの横顔を見つめ、ふとさっきのことを、思いだした。


「…翔さんさー、中島さんに何言ったの?」


すると、翔さんは、ふんと鼻をならして、笑った。


「優勝してさ。賞品もらって、その夢の国とやらに、風磨誘って行ってこいって言ったんだ」

「ふうん…」

「とりあえず、二人で会わなきゃ始まんねえからな…」


…そうだね。

触れる、触れないももちろんだけど、きっと中島さんたち二人は、話をする時間が少なすぎるんだよね。

ここから見える中島さんの背中は小さくて華奢で。

あの背中を守る腕が、本来はすぐ傍らにあるはずなのに。

いったいあの人たちは、何をすれ違ってしまっているのだろう?
どうして、好きな人が、そばにいないんだろう…。

なんだか寂しい気分になる。

今の俺の幸せは、温かな相葉くんのそばにいれること。

どうか、二人ともそれを思い出して欲しいな…。


「さ、俺らは、客席で見物してようぜ 」


さっきとはうって変わって上機嫌な翔さん。
潤くんは、少し心が痛むみたいで、中島さんを見つめてる。

その瞳が軽く見開かれたのに気づき、俺も潤くんの視線をおった。

すると、一人の青年が、待機している集団にツカツカと歩み寄っていくのが見えて。

あれ、と思うまもなく、その人は迷わず、うつむいている中島さんの腕をとった。

ひかれるように顔をあげた中島さんの目が、驚きに見開かれて、一言、二言何か言葉を交わしたかと思ったら。

青年は、そのまま、ぐい、と中島さんを引っ張って……二人で走り去っていった。


俺らは一瞬目がテンになった。
目の前で起きたことに、誰も対応できてなくて。

法被部隊が、おろおろし始めたのをみて、ようやく事の重大さに気づいた。


「……ええっ?」

「え?なにあれ?! 」

相葉くんと潤くんと一緒に戸惑ってると、


「風磨だ…」


翔さんだけが、唖然として呟いた。
そうして、面白そうにニヤリと笑った。


「…風磨が健人をさらっていったぞ 」

「…えええっ?!」

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