
キラキラ
第27章 かげろう ~バースト6~
「え、無理。俺無理」
フルフルと、小さく首を振る中島さんだが、そこで初めて法被部隊は、俺たちの存在に気づいたようで、地獄に仏とばかりに顔を輝かせた。
「連れの方たちですか?」
法被の一人が、色めきたった顔で翔さんに食いつく。
「おう。そこの三人、タイプそれぞれ違うけど。誰かに頼んでみたら?一人くらいオッケーしてくれんじゃね?」
翔さんが、人の悪い顔でこちらを指差した。
三人??
俺は一瞬頭が真っ白になった。
……待って待って。
巻き込まないでよ、翔さん!!
突然、法被部隊の興味の対象がこちらにうつり、固まってしまう。
にこやかに微笑む学生らが、こちらにジリジリ近寄ってくる。
思わず後ずさった俺の腰に、相葉くんの腕が添えられた。
ビックリして見上げたら、相葉くんは、眉を下げて笑ってる。
「俺も。かずをステージにあげる気はないよ」
「……」
「そんなことして、かずを好きな子が現れたら大変だもん」
「相葉くん…」
「翔さんズルいよね(笑)」
言って、ニッコリ。
その笑顔に、俺はなんだか感激してしまった。
しかし、幸か不幸か。
最初に翔さんから指名があったせいか、法被部隊は、中島さんにロックオンしたようで、猛烈に口説き始めた。
囲まれた中島さんは、えーとか、うーん、とか言って戸惑ってる。
すると、おもむろに翔さんが近寄っていって、中島さんの耳もとに顔を近づけ、何やら囁いた。
中島さんは、複雑な顔になったけど、翔さんが頷くのを確認して、…渋々頷いた。
「……優勝は分かりませんが、それでいいのなら」
ありがとうございます!!と、法被部隊の雄叫びが響いた。
こちらに飛び火しなかった俺らも、中島さんには悪いけど、ホッとする。
集まった、所謂「キャンパスでみつけた王子様」は、総勢10人。
ちなみに、今しがたやっていたイベントは、「キャンパスでみつけたお姫様」だという。
なるほど、女の子ばかりステージにあがっていたのは、そういうことだったのか。
ステージ脇に待機するそれなりに整った顔をした青年たちの中に、紛れ、佇む中島さん。
七分のデニムシャツに、白いアンクルパンツという
しゃれた格好をしてる彼は、潤くんもそうだったけど、間違いなく優勝候補だろう。
