テキストサイズ

キラキラ

第27章 かげろう ~バースト6~


すると、その様子を周りで見ていたと思われる男女の法被の集団が、逃がさないとばかりに、ざざっと二人を取り囲んだ。


「すんません。待ってください」

「お願いします。少しだけ時間ください」


戸惑う潤くんを、自分の背中の後ろにおいやり、翔さんは、冷ややかな顔で、そんな法被部隊を見回した。


「…悪いけど、無理。他あたって」


行くぞ、と、バッサリ話を切って、潤くんを連れて歩いていこうとするのを、悲鳴のような声が追いすがった。


「ステージに並ぶだけなんです!……どうしても無理ですか?」


法被部隊が、真剣な顔で翔さんに、立ちはだかった。

翔さんは、黙って首を振った。


「無理だな」

「勝手な話なんですが…この企画、チーム戦なんです。そのチームが推薦した子が優勝したら、その子を推したチームも、もちろん優勝した子も豪華な賞品がもらえるんです」

「知ったこっちゃねぇよ」

「優勝した子は、千葉県の夢の国のペアチケット ですよ」

「いらねぇって」

「あのっ…その子、見る限り、優勝の最有力候補なんです!」

「うるせぇな」


けんもほろろとは、このことか。

代わる代わるいろんな法被が、翔さんを口説き落とそうと頑張るが、何を言っても、はねのけられてしまい、とりつくしまもない。
鉄壁の守りをみせる彼に、逆に感心してしまった。

苦虫を噛み潰したような不機嫌な顔をしてる翔さんの後ろで、潤くんが困ったように愛想笑いを浮かべてるのが、また面白い。

…大学側はあきらめるしかないんじゃないかなぁ?

相葉くんと目を合わせて、やれやれ、と肩をすくめた。

だけど、そんな翔さんは、段々冷静になってきたのか、さすがに、冷たいかな、と思い直したのか。

聞く耳もたぬ、といった態度から、少しずつ冷静に周りを見渡す余裕を持ち始め。
その、大きな瞳をふいっと俺らに向けて……
その視線を中島さんにとめて、ニヤリと笑った。


「…健人かわりに出ろよ」

「……え?」

「おまえも王子様似合いそうじゃん。」


法被部隊が、一斉に中島さんを見た。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ