
キラキラ
第26章 10カゾエテ ~Count 10~
*******
「大野、またサボリ?」
ぺっちゃんこの鞄を抱えて、昇降口に向かい、ゆるく歩いている金髪に、後ろから声をかけた。
どこからどうみても、今から帰ります、サボります、的な風体。
あいかわらす、堂々としてるよね。
その大野は一瞬だけ足をとめ、ちらりと俺を見たあと、めんどくさそうな顔になり、無言で再びペタペタ歩き出した。
「出席日数大丈夫なの?ダブるよ?」
追い討ちをかけるように、もう一度声を投げる……が。
無視。
そのまま歩き続ける大野に、あきらめて傍らの潤を見れば、潤も苦笑いだ。
見かねた潤は、少し声を張り上げた。
「おい。香取が言ってたぞ。今日のテストさぼったやつは、呼び出しだとよ」
無視。
「それも校長室に」
大野がピタリと止まった。
そのまま嫌な顔でこちらを振り返った。
「……それは、マジか」
「おお。マジマジ」
大野は、すごくすごくめんどくさそうな顔になった。
そして、しばらくじっと足元をみて、何かを迷うような顔になった。
その後、なんとこちらにペタペタ引き返してきた。
俺は、思わず潤の顔を見た。
潤も、してやった!と、言う顔をした。
大野は黙ったまま、ペタペタ気だるく歩いて、俺らの横をすりぬけ、そのまま教室に戻って行った。
スッゴい!
あの大野があきらめた!
「潤、よく知ってたね。香取と喋ったの?」
「ああ……ありゃ、嘘だ。そんなことくらいで校長室なんかに呼ばれるわけねーだろ」
「ええっ!」
「……嘘も方便だ」
にっと悪い顔をして笑う潤。
……まあ、いっか。
バレたら怒られそうだけど。
喧嘩っ早くて、みんなが怖がる大野は、本当はきっとすごくいいやつなんだ。
その証拠に、弱いものいじめは絶対しない。
そんな大野とは、ずっと同級生でいたいと思った。
それは潤も同じで、俺たちだけは、あいつを気にかけてやりたいな、と意見が一致し、事あるごとに声をかけてる。
いつもそんなに響かないけど、時々こうやって反応してくれると、なんだかうれしい。
「あれ。おーちゃんは?さっき帰っていこうとしたのが見えたけど」
相葉くんが、やってきたから、俺たちは教室を指差してにんまり笑った。
おーちゃんは、いいやつだよ、という彼の同室の相葉くんと、その友人のにのも、大野に好意的。
