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キラキラ

第26章 10カゾエテ  ~Count 10~


誤解を招くことの多いであろう大野の味方が、こうやって少しでも増えていったらいいな、と思う。

「またサボリかと思ったー。絶対とめなきゃ、と思って」

相葉くんは、ホッとしたように言って、再び自分の教室に帰って行った。
俺は、そんなニコニコしてる相葉くんに手を振り、潤を仰いだ。


「ねえ、潤」

「ん?」

「週末さ、どっか行こうよ」

「……おお。買い物でも行くか」


どーせお前は、夏物も、だせーのしか持ってないだろ、とクスクス笑われる。

この潤の服いじりも、なんだか嬉しくて。


「じゃあ、俺に似合うの選んでね」


にっこり笑んだら、潤が優しく頷いた。


入学当初と大きく変わった俺らの関係。
素敵な夏になるといいな。


俺は、ちょっとだけ潤の手に触れてみた。
すると潤は一瞬だけ、俺の手をぎゅっと握り返し、すぐに手を離して、照れくさそうに笑った。


「行こうか」

「うん」



………あきらめなくて良かった。

想いが伝わって良かった。

ねぇ、潤。

……俺のこと……ずっとつかまえていてね。


          
               fin.

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