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キラキラ

第26章 10カゾエテ  ~Count 10~


Sho


バタバタと相葉くんが出ていくと、再び部屋に静寂がもどった。

さっきまで漂っていた、照れくさくも甘い雰囲気は消し飛び、お互い妙にぎこちない笑みを浮かべてしまう。


もー……相葉くーん……


さすがに、さっきの続きをしようとは言えず、仕方なく俺は自分のベッドに、ぼすんと座った。

なんだか、フワフワしてる。

本当に、俺の想い、通じたんだなぁ……。

潤の前でドキドキするのを、ばれないように、すっとずっと隠しとおしてきたけれど。
もう隠さなくていいんだよね。


……嘘みたいだ。


その潤は、相葉くんが来たと同時に、何故か始めたストレッチをそのまま続けてる。

意外と体柔らかいんだなぁ……なんて、ぼんやりそれを見ていたら、前屈していた潤が前髪の間から俺をじっと見つめてきた。
何か言いたげなその様子に、首を傾げる。



「……なに?」

「あのさ……今さらだけどさ。さっき、すごく困ってなかった?」

「え……?」

「ほら、俺のせいだとか、いって……」

「……ああ……」



すごいことが俺に降りかかってきたもんだから、一瞬だけとんでいた。


いや、薄情だな……俺も。


俺は、反省しながら、唇をかんだ。



「大野のことなんだ……」



潤が眉をひそめた。

俺は、談話室での話をかいつまんで説明した。
キスのくだりは言いたくなかったけど、大野が相手を病院送りにした理由が不明になるから、頑張って説明した。



「……だから、大野が謹慎になったのは、俺のせいでもあるんだ……」

「あいつ、まあまあいいやつなんだな……」



潤の反応が微妙にずれている。
噛み合わない。

なに、どーゆー意味?


「だって、お前のために、仕返ししてくれたんだろ」

「……う……ん…」


まあ……そういうことかな。


歯切れ悪く頷く俺に、潤の眼がすっと細められた。

「………念のためにきくけど。そのくそ野郎にされたのは、キスだけだよな」

「……」

「他にもなんかされたのか」

「……」

「されたんだな」

「少しだけ……触られた」

 
黙っていようかと思ったけど、潤の目力に負けて、白状してしまった。

すると、潤はみるみる冷たい瞳になり、吐き捨てた。


「そいつ、復帰してきたら、もっかい俺が病院送りにしてやる」

「いや、もういいから……」

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