
キラキラ
第26章 10カゾエテ ~Count 10~
二宮くんと相葉くんと一緒に、たわいもない会話をしながら、風呂に向かう。
ここの寮は、学年で使う時間が特に決まっているわけではなく、あいてる時間に自由に入りに行くシステムだから、自分たちが使おうと思ってる時間が混んでることもあれば、すいててラッキーだという日もある。
本日は前者だったようだ。
部活終わりのサッカー部が、汗を流しに集団で入ってきてて、脱衣所がどうにもごちゃごちゃしてる。
「……どーする?」
相葉くんが、苦笑して俺らの顔を見渡す。
二宮くんが、
「少しだけ待とっか?」
と、談話室を指差した。
談話室は、生徒同士がコミュニケーションをとる場所。
TVが設置され、いくつかの椅子や机もあり、消灯後の勉強場所に使われたりもしている。
今も、何組かの生徒らが、バラエティを見ながらゲラゲラ笑って談笑していた。
俺らは、部屋のすみにあるソファに陣取り、時おりテレビに視線をうつしながら、学食のカレーの話で盛り上がっていた。
「肉は絶対牛っしょ?!」
「あー……俺んちは、豚だった」
「俺チキン」
「え?なんで?!牛が絶対うまいって」
「いや、カツカレーとか最高だよ?」
「それはまた話が違うよ!」
わいわい討論していると、
「相葉、二宮、ちょっといい?」
一人の上級生が、声をかけてきた。
「ちょっとさ、明日の練習メニューで、お前らに聞いといてほしいことあるから、15分だけキャプテンの部屋来てほしいって。」
「あ……はい。分かりました」
その場に立った二人が、返事をして顔を見合わせた。
「…今から?」
「ほら、あれじゃない。週末試合があるから」
「そっか…どうしよ」
言って、二人が俺を見た。
俺は、肩をすくめて手をふって見せた。
「俺なら大丈夫。行ってこいよ。ササッと風呂入ったら、すぐ部屋もどるから」
「でも…」
相葉くんが、迷うような目で周りを見渡した。
相変わらずテレビは賑やかについてるし、何人かの生徒もいる。
「ほら。たくさん人いるだろ」
安心させるように周りを指差したら、相葉くんは、ゆっくり頷いた。
「……うん、そうだね。……じゃあ、俺ら行くね」
「気をつけて」
「ははっ。大丈夫だよ。また明日」
相葉くんと二宮くんと、この場で別行動になった。
