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キラキラ

第26章 10カゾエテ  ~Count 10~


「った……!」


相手は体格差にものをいわし、馬鹿力で俺の腕を、ねじりあげてきた。
体を離そうとすればするほど、向こうの力も入る。


「ちょっ………離してください」


俺が焦って訴えると、


「………そいつ、俺のトモダチでもなんでもねーから」


突っ立っていた大野がぼそりといったもんだから、俺は思わず目を丸くして大野を振り返った。


………嘘だろ!
巻き込んどいて見捨てる気かよ!


俺が焦って、大野の顔を見ると、大野は、仕方ねえなという顔で、ポケットに手を突っ込み、歩き出すところで。

「待っ………」

「………つきあってやるから。そいつ離せよ」


思わず呼び止めようとした俺の声に、大野のぼそりとした声がかぶさった。


「そうこなきゃ」


ふっと、俺の腕をつかむ力がぬけた。

チャンスとばかりにその手から離れようとしたら、なぜか再び手首を、強くつかまれた。

「?!」

見上げると、その上級生は、射るような目で俺を見ている。


………なに?


「なあ、ちょっと気になったんだけど。もしかしてお前の名前、松本か櫻井か相葉か二宮のどれかだったりする?」


なんで潤の名前も………?
気持ち悪。


俺は、警戒しながら、じっと相手を見据えた。


「………だったらなんですか」


すると、上級生は値踏みするような眼差しで俺を見つめ、いやらしい笑みを浮かべた。 


「へぇ………今年の一年豊作だっていってたけど。どーりで。………ちょーどいーや。お前も来いよ」

「え?なんで?!」

「………いーことしよーぜ」


ぞわっと背中を嫌な予感が走った。

いーことって………。

………みんなで仲良くお茶をするわけではないよね?!


なんともいえない恐怖心に襲われ、俺はふるふる首をふった。
なにするか知らないけど。
第六感が警告する。
これは絶対危険だ!



「………やです」 

「おい。そいつ関係ねーっつってんだろーが」


大野が近寄ってきて、俺の腕を引っ張った。


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