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キラキラ

第26章 10カゾエテ  ~Count 10~


暗闇でも、目さえ慣れれば、ほのかに部屋の様子が分かるもので。

少し口を開いて眠っている潤の顔は、窓からさす月明かりも手伝い、思いの外はっきりと見えた。

長い睫毛をふせ、あの力強く大きな瞳がかくれると、とたんに子供っぽい顔になるのも、最近気がついたことだ。

投げ出された腕は、たくましくて、なのに指は細くて繊細で………。

男っぽい部分と、少年のような部分と。
色っぽい部分と。
あらゆる顔を持っているやつだな、と思う。

たまに、頭をくしゃりと撫でられたり、肩を抱かれたりするけど、あの手で触れられると、どういうわけか俺の心臓は、すごい勢いで高鳴るんだよな。

ふっと笑みがこぼれた。


………なんだか。可愛いな。


潤の寝顔をじいっと穴があくほど見つめる。
すうすうと、聞こえる寝息。


潤がいればいい。
潤と出かけれたら、一緒に過ごせたらそれでいい。

そう思う俺は、異常なのかな?


こんな気持ちを友達に持つのも初めて。
よく言う独占欲ってやつなんだろうか。


「………」


考えても答えはでなくて。
だけど、答えを出すのも怖い気がしてくる。


だって………こんなので悶々とするなんて、女みたいじゃん?


そっと手を伸ばし、潤の柔らかな髪の毛に触れてみた。


「………ん」


口元から発せられる寝ぼける声に、慌てて手をひいた。


逃げるように自分のベッドに戻った。

肌布団を頭まで引き上げる。
寝てしまおう。

そして、起きたら、笑顔で「おはよう」と言おう。


そう。いつも通りに。



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