テキストサイズ

キラキラ

第26章 10カゾエテ  ~Count 10~


その時、ふいに横から、


「あのう………」


と、可愛らしい声がした。

いまだ、トクトクなり続ける心臓の音を潤に悟られまい、とポーカーフェイスを保ちながら、目を向けると、女子高生らしき二人組が、媚びるような目でこちらを見ていた。


「私たち、今からカラオケ行くんですが、もし良かったら一緒に行きませんか?」


………………。

知らない子だ。
なんで俺たちなんか誘うの?
人違いじゃねーの?

ぽかんとしていたら、潤が、ふんと鼻をならして、笑った。


「なに?逆ナン?」

「うふふ。二人ともイケメンだから、お話してみたくてー。高校生でしょ?」

「まあね」

「このあと暇ですかー?」


薄化粧した、いかにもなイマドキノ子が、かわるがわる潤に話しかけてる。
潤は手慣れた風に受け答えしてる………。



むか。




なんだか、面白くない。
ものすごくモヤモヤしてきた。


「二人とも同じ年?」


ロングヘアーをさらさらゆらして俺をみる女の子は、多分可愛い部類に入るのだろう。
自分に自信があるタイプのようで、やたらと小首をかしげる仕草に、いささかうんざりする。
さっきまでのドキドキした気持ちなんか、ふっとんだ。

無視するわけにいかないので、俺は、愛想笑いを浮かべて頷く。


「………はい」

「やだ、可愛い。ねぇ、どこの学校?」



………うるさい。



俺が、ちらりと潤を見たら、潤は仕方ないな、というような苦笑いをしていた。

この表情はどう読み取ればいいのだろう。
潤はこういうとき、一緒に女の子とでかける人なんだろうか。

俺は………俺は。

潤といれたらそれでいいんだけど。
女の子の存在は、特にいらない。

そこまで考えて、ふと思う。

俺みたいな考えはおかしいのだろうか。

普通は、女の子と出かけるものかな?
潤は、カラオケ行きたいのかな……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ