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キラキラ

第26章 10カゾエテ  ~Count 10~


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寮から外出するときは、外出届けをだし、夕飯が終わる八時までに帰ることが鉄則。

週末、俺たちは、朝から学園の最寄りの駅から、少し離れた繁華街にでた。


潤と出かけるのは三回目。
学生だから、お互いそんなに小遣いを持ち歩いてるわけじゃない。

専ら、本屋やレンタルショップ、古着屋なんかをみてまわり、ファーストフードで喋って帰る、学生ならではのスタンダードな過ごし方しかできないのだが、俺にとってはたまらなく楽しかった。

潤は物知りで、流行りの服なんかもよく知っていた。


「………おまえ、私服はちょっとダサいからなぁ」


リーズナブルな商品の並ぶ古着屋で、シャツを何枚か物色しながら潤が含み笑う。


「お。これ似合いそう」


少しかわったデザインの白いシャツを手にして、俺の体にあわせてくれる。


「………そんなダサかった?」

「だせーよ。あのシャツをインして着るやついねーよ」

「そ………そう?」


言いながら、格安だけど、お洒落にみえる服を上手にチョイスしてくれる潤。


「おまえ、顔はイケメンなんだから、ああいう着方は二度とするなよ?」


褒められてんだか、けなされてんだか、よく分からない。
でも、楽しくてたまらなかった。


「うん」


素直に頷いたら、潤はにやっと口角をあげ、「はい。これ買ってこい」と、俺が絶対選ばないような白シャツをおしつけてきた。

値段をみたら、嘘みたいな金額。
ハンバーガーより安い。

お洒落なやつは、買い物も上手なんだな、と感心しながら、レジに向かった。

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