
キラキラ
第26章 10カゾエテ ~Count 10~
Sho
中等部の生活もそれなりに楽しかったが、高等部はそれの比ではない。
より自主性を重んじた学園のカリキュラムは、わくわくするし。
窮屈だった中等部の寮より、自由度が増した高等部の寮は、外部から新たに入ってくる生徒とのつきあいも始まり、俺の学生生活を、より充実したものにしていた。
なによりも。
「………なぁ、翔。今日の提出物って、生物だけだったよな?」
学生鞄に、テキストやらノートをつめこみながら、欠伸をかみころす同室の男………潤に、笑いがこぼれた。
「ぶぶーっ。数学のワークもです」
「げ。マジで。………まだ全部終わってねーわ………」
焦りぎみで、パラパラノートをめくってる。
俺は、クスクス笑って、今日の時間割りを頭に浮かべ、自分のノートを差し出した。
「木村の授業は三時間目でしょ。休み時間にうつしちゃいなよ。ほら」
「………すまん」
「ハンバーガーでいいよ」
「高いな!」
「ポテトもね」
「………」
複雑な顔をしてる潤は、渋々うなずいてる。
でもこれで週末、彼と一緒に外出することができる、と俺はひそかに嬉しいと思ってるのは内緒。
独特の出会いをしてからこっち、同室で同じクラスという冗談のような縁で、何かと共にすごすことの多くなった潤。
一緒にいて、安心できる空気感をもつ友なんか初めてで、俺は、毎日とても楽しい学生生活を送れてる。
この潤という男は、一言でいえば………男前だった。
力強い瞳に意思の強そうな眉。白い肌に軽くウェーブした髪。
王子様のようだ、と思ったのが第一印象だが、口をひらけば、ヤンキーのような口の悪さ。
そのギャップもまた良い。
俺が先走っても、適度にブレーキをかけてくれる。
管理されつくした中等部の寮生活のおかけで、若干いろんな面で雑学に乏しい俺に、いろんなことを教えてくれる。
会ってまだ数ヵ月なのに、潤は、今や俺にとってかけがえのない人間になっていた。
