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キラキラ

第26章 10カゾエテ  ~Count 10~


大野を見てると、ほんの少しだけ、かつての自分と重なり、なんともいえない気分になる。

遊び歩いてた中学時代。

法に触れることはしてないが、校則に触れることはたくさんしてきた。
 
女の子とも遊んだし、地元の高校生グループについて、夜中まで遊んだ。

家にいても息がつまり、その捌け口を外に求めた結果だった。

ただ、勉強はなんでだか昔から好きで。

知らないことを吸収していくことが楽しいと思える俺は、素行のわりには、成績はそこそこよかった。
みんなが漫画をよんでるなか、問題集を眺めている俺は、毎回のようにいじられていたけれど。

それだからこそ、内申点が最悪でも、基礎学力があったためにこんな学園に進学できたのだ。


あんだけ荒れ放題な大野も………きっとなにかきっかけがあるのだろうな、と思う。

知りたいとは思わないけれど、な。



「………あ。相葉くんから返事入ってきた」


スマホをいじってた翔が、軽快な電子音に反応した。


「………なんて?」

「えーっとね………『無理矢理おさえつけて消毒したからご心配なく』だって(笑)」

「無理矢理?大野を?」

「うん、さすが相葉くん(笑)」

「………やるな」


一見ひょろっこい相葉。
暴れん坊の大野に簡単に抵抗されると思っていた。

あの大野をおさえつけただって?

どんな技を使ったんだか。


なんだか、妙におかしくなり、俺と翔は、顔を見合わせてゲラゲラ笑った。

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