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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟

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それから。

ミヤの回復まで丸四日かかった。

その間、俺はミヤに直接会いに行く勇気はなくて、世話をしてくれる王子たちの報告を聞いてた。
召し使いにさせればいいのに、マサキを筆頭に、なぜだかみんなミヤの世話をかってでてくれた。
 
俺にかわって、ミヤと少し話をしてくれようとしてたのかもしれない。

俺はといえば、ショウの城の一室を借りて、ソファでずっとぼんやりする日々だった。

たまに、三人がかわるがわる訪れて、ミヤの様子を報告してくれる。

熱が出たけど、下がった、とか。
少し食べ物を口にした、とか。
俺はどうしてるか、聞いてきた、とか。

「そうですか……ありがとう」

「あの……姫」

「……はい」

「……少しでも何か食べてください」

ショウが心配そうに、テーブルにおかれたカットされたフルーツの皿を、俺に向かって差し出すが、俺は小さく首をふった。

「……ごめんなさい。食欲がないんです」

本当だった。
何も口にする気になれない。
それでも、心配をかけてはいけない、と無理矢理にでも食べようとしても、口にいれたものを飲み込むことができなくて。


「今度はサトコ様が倒れますよ……」

と、ショウが気づかうように声をかけてくれるのが申し訳なかった。

あれほど我を忘れるほど怒り狂い、死にそうなくらいまで悲しみに染まった心は、時間がたつごとに、恐ろしいほどまでに空虚でカラカラなものにかわった。

何も考えたくなくて、何もしたくなくて。

時が戻ればいいのに、と思った。

今の状況が自分にとって好転するとは思えないから、前に進めない。

自分の国に帰れば、ミヤは、もしかしたら俺の付き人すらやめてしまうかもしれない、と思うと、帰国もしたくない。

「……」

「……姫」

完全に体を動かす機能をとめて、ソファに頭を預けぼんやりする俺を、悲しそうに見守るショウ。


……ごめんな。迷惑かけて。

おまえたちのことを好きになれたらいいんだろうけど、今の俺には無理だ。

ミヤがいいんだ。
ミヤじゃなきゃ、ダメなんだ。


ポタリと涙がおちた。

俺は。


「……ミヤがやっぱり好きなんだ……」

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