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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


「……さっき、サトコ様とすれ違って。あんたが気がついたって喜んでいらっしゃったから……でも、まだ起きねー方がいいんじゃねーの?」

肩をそっと撫でられて、そのまま、ゆっくりと手を添えられ横たえられた。

ぐるぐる天井がまわってる。
俺は両手で顔を覆いながら、小さく

「……すみません」

と、言った。

ジュン王子は、困ったように、俺に肌掛けをかけ直して、さっきまでサトコ様がいたベッドのそばの椅子に、座った。

「……?」

なんだよ。また嫌味でも言いにきた?。

指の隙間から、ジュン王子を見る。
ジュン王子は、何かをためらうように、唇をかんだり、爪をいじったりしてる。

「……あの。すみません。今回のことはご迷惑おかけしました」

とりあえず、礼だけしとかなければ、と小さく話しかけたら

「……別に。あんたが悪いわけじゃないじゃん」

つっけんどんだけど、至極真っ当な意見がかえってくる。
俺が黙ったら、ジュン王子は、あー…でも…と、言いながら髪をかきあげた。

「……俺があんなこと言ったから、ショックで失踪したのかと思った」

「……あんなこと」

「身分違いの話」

「……ああ……」

本当のことですから、と言って、ため息をついた。
この言葉は、全てを肯定してしまうかのようだったけど、もうかまわないと思った。
どのみち、もう終わりにするつもりだから。

それに、この人には、ごまかしは通用しない気がした。
まわりに言いふらすタイプでも、ないだろうから、それほどのリスクはないはずだ。

それは、ショウ王子にもいえる。
この二人のどちらかに、サトコ様を託そうと思った時点で、隠し事は、できるだけ少ない方がいいと思った。

俺は、黙って、全てを射抜くような大きな瞳をしてるジュン王子を見つめる。
怯んだら負けだ、と思った。


しばらくの沈黙ののち。
ぽつりとジュン王子が言った。

「……姫とは、いつから?」

「……いつとはいえない。昔からです」

「じゃあ、情で繋がってる可能性もあるかもしれないってことだよな」

「……俺は違いますが、サトコ様はそうかもしれませんね」

一切の感情を削ぎ落とす努力をして、淡々と返した。






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