
キラキラ
第23章 🌟🌟🌟
「わかんねーよっ」
「……無茶苦茶だ」
含み笑いながら、サトシの髪をゆっくり指ですいた。
サトシは、噛みつくように怒鳴った。
「いーんだよ。おまえが帰ってきてくれたから、なんでもいいんだよっ。うるせーよっ」
言って、また、ポロポロ涙をこぼすサトシを優しく見つめる。
抱き締めたいけど、俺は、もうあなたから離れないといけない。
適齢期をとうにすぎたあなたを、このままにはできないから…と、決めたのに。
俺の前で、感情をあらわにして素顔をみせるサトシがいとおしくていとおしくて、胸がいっばいになった。
ダメだな、俺は。
そんな自分の思考をかき消すように、わざとに、話題をそらした。
「…サトシ。ごめん、水くれる…?…喉が渇いて仕方がないんだ」
サトシは、涙にぬれたまつ毛を二、三度またたかせ、任せろ、というように頷いた。
「……うん。分かった。もらってくるから、待ってろ」
ずずっと鼻をすすりながら、ぴょん、とベッドからおりた。
「あのさ、ショウが、おまえが元気になるまで、ここにいていいって」
言いながら、パタパタと走って行くサトシの後ろ姿を見送った。
ショウ…ね。
いやに親密になってるじゃないか。
チリチリする胸に気づかないふりをし、唇をかみ、ゆっくり体をおこした。
「…痛…」
鉛のように重い体は、腰から下が痛くて動かない。身体中がズキズキ軋むようで、自分の体はどうなってんだ、と思う。
だけど、……それは全部生きてるからこそ。
はあ……と、深呼吸しながら、ふと自分の腕に目をやれば、赤黒く擦れたアザが手首にあるのを見つけた。
それは、紛れもなくあの男に拘束されてたあと。
その瞬間、犯されてたあのときの映像が、鮮明にフラッシュバックした。
喋ることを許されず、下半身にはしる激痛のなか、ひたすら揺さぶられ続けた地獄のような時間。
揺すられる振動と、おぞましい相手の呼吸音と、背中に感じたベッドの感触と……青臭い匂い。
「……っ」
気持ち悪い……っ
体を投げ捨てたい思いで、意識が遠退きかける。
「おい…」
ふうっと、横に倒れかけた体をすんでのところで、支えてくれたのは。
「大丈夫か」
肩に感じるのはあたたかな大きな手のひら。
蒼白な顔でぼんやり見上げた先には、緩やかなウェーブの黒髪が似合う、ジュン王子であった。
「……無茶苦茶だ」
含み笑いながら、サトシの髪をゆっくり指ですいた。
サトシは、噛みつくように怒鳴った。
「いーんだよ。おまえが帰ってきてくれたから、なんでもいいんだよっ。うるせーよっ」
言って、また、ポロポロ涙をこぼすサトシを優しく見つめる。
抱き締めたいけど、俺は、もうあなたから離れないといけない。
適齢期をとうにすぎたあなたを、このままにはできないから…と、決めたのに。
俺の前で、感情をあらわにして素顔をみせるサトシがいとおしくていとおしくて、胸がいっばいになった。
ダメだな、俺は。
そんな自分の思考をかき消すように、わざとに、話題をそらした。
「…サトシ。ごめん、水くれる…?…喉が渇いて仕方がないんだ」
サトシは、涙にぬれたまつ毛を二、三度またたかせ、任せろ、というように頷いた。
「……うん。分かった。もらってくるから、待ってろ」
ずずっと鼻をすすりながら、ぴょん、とベッドからおりた。
「あのさ、ショウが、おまえが元気になるまで、ここにいていいって」
言いながら、パタパタと走って行くサトシの後ろ姿を見送った。
ショウ…ね。
いやに親密になってるじゃないか。
チリチリする胸に気づかないふりをし、唇をかみ、ゆっくり体をおこした。
「…痛…」
鉛のように重い体は、腰から下が痛くて動かない。身体中がズキズキ軋むようで、自分の体はどうなってんだ、と思う。
だけど、……それは全部生きてるからこそ。
はあ……と、深呼吸しながら、ふと自分の腕に目をやれば、赤黒く擦れたアザが手首にあるのを見つけた。
それは、紛れもなくあの男に拘束されてたあと。
その瞬間、犯されてたあのときの映像が、鮮明にフラッシュバックした。
喋ることを許されず、下半身にはしる激痛のなか、ひたすら揺さぶられ続けた地獄のような時間。
揺すられる振動と、おぞましい相手の呼吸音と、背中に感じたベッドの感触と……青臭い匂い。
「……っ」
気持ち悪い……っ
体を投げ捨てたい思いで、意識が遠退きかける。
「おい…」
ふうっと、横に倒れかけた体をすんでのところで、支えてくれたのは。
「大丈夫か」
肩に感じるのはあたたかな大きな手のひら。
蒼白な顔でぼんやり見上げた先には、緩やかなウェーブの黒髪が似合う、ジュン王子であった。
