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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟

「あのさぁ……」

俺が、ぽつりと割って入ったら、二人が同時にこちらをみた。

……双子みたい。

ふふっと笑って、俺は、こうなった原因をさぐった。

「なんで、その男爵はミヤさんを……?」

「ん……まあ、これは俺のミス。正確には親父だけど、サトコ様を、大勢の客の前で特別扱いしたんだ。……その腹いせじゃねぇかな、って思う」

ショウちゃんが、辛そうに吐き出した。

「なんで?」

「……ずっと、俺に縁談を持ち込んできてる先なんだ」

「自分の娘が受け入れられないからって、やることが汚ぇんだよ」

親のやることかよ……と、チーズをむしゃむしゃと食べるジュンに、ショウちゃんは、そうだな、と頷いた。

「……さらにさ、さっき衛兵から聞いたことによれば、あいつは、男色という噂もある」

「……なに」

ジュンが、嫌な顔で口の中のものを咀嚼し、ごっくんと飲み下した。
凛々しい眉毛が、変な風に寄せられていて。

「じゃあ……」

「うん。ミヤさんを暴行したのは間違いなくそいつだ。……ただ、証拠がなくて。男爵の家にミヤさんがいれば話は別だったけど、兵が屋敷にふみこんだら、もぬけの殻だったって」

「……逃げたか」

「……必ず捕まえる」

ショウちゃんは、怖い目をして、呟くように言った。

そりゃそうだ。
サトコ様の手前、犯人をつきださないことには、話は終わらないだろう。

「……非力そうだもんなあ、あいつ。男爵、ガタイがいいから、組みふせられたら逃げ出せなかっただろうなあ」

ジュンはワイングラスをじっと見つめて、ぽつりと言った。

……ミヤさんのことか。

俺は痛む胸を抱えて、唇をかんだ。

どんなに辛かっただろうか。

同じ男に襲われるなんて、体も傷つくだろうし、心もさぞかし傷ついているだろう。

そばにいてあげたいけど……それはサトコ様の役目だよなぁ……。

「ミヤってやつ。生意気な顔してるけど、こうなったらちょっと可哀想になってくるよなあ…」

ジュンが、ナッツをぽいっと口にほおりこみ、カリカリ噛み砕く音を聞いて、ちょっと…ムッ。

「生意気な顔してる?綺麗な顔じゃん」

「どこが? あいつ、俺がサト子様に近寄ると、すっごい冷たい目して、俺を見るぜ?」

「あ……それ、分かる」

ショウちゃんまで面白そうに頷いた。

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