テキストサイズ

キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


どなたのことなんですか?と、純粋な興味の気持ちを投げかけたら、予想に反して、サトコ様の肩がびくっと動いた。

みるみるうちに強張る顔。
明らかに動揺してる。

と、いうか。……突っついたら泣きそうな顔だ。


え。なんで??


俺は焦った。
姫を泣かすなんて、そんな大それたことしちゃダメじゃん!

「……あの……サトコ様?」

「……いや、知らねぇ…じゃなくて、……知らない……です」

サトコ様は、小さくふるふる首をふってうつむいた。

ジュンとショウちゃんと目が合う。
二人とも、首をかしげてる。

誰もサトシを知らないみたいだ。

まあ、そこまで言及することでもないか。
ミヤさんが、切迫した状況で思い出すのが男ってのが、ちょっとひっかかるけどね。

「サトコ様。ミヤさんが目覚めるまで、どうかおやすみください」

俺は、肩を震わせてるサトコ様にそっと声をかけた。

「……顔色が悪い。ミヤさんが目覚めたときに、あなたが倒れてたら、もとも子もないでしょ」

ショウちゃんが頷いて、優しく続けた。

「この部屋を自由に使っていただいてかまいません。我々は、別室におりますので、何かあったら呼んでください。後で、軽い食事も運ばせます」

「……ありがとうございます」

サトコ様が深く頭を下げた。

「大の国には、使いを出しました。安心して、ミヤさんが回復するまで、何日でも滞在してください」

サトコ様は、ふわりと微笑んで、また頭を下げた。


*******


「しょーもないやつなんだ、あの男爵」

忌々しそうにショウちゃんが吐き捨てた。
俺が持ってきたワインを、くぴっと飲んで、はあっとため息をつく。

どうやら、とある不届きものが、ミヤさんをさらったらしいところまでは分かった。

なんてやつだ!

俺が、一人こっそりプリプリしていたら、ショウちゃんが情けない顔になった。

「こんな事件起きたら、正直こりごりだよなあ。これで、サトコ様が俺の国に来るのひかえるようなったらたまんねぇよ……」

「いいじゃん。そん時は、松の国にご招待して、俺がサトコ様を口説く」

ジュンがにっと笑った。

「はあっ?そんなん許すかよ」

「バカ言うな。俺だって、サトコ様を嫁にしたい」

「だめ」

「だめって。そりゃズルいだろ」

不毛な会話を繰り広げる、ショウちゃんとジュン。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ