
キラキラ
第23章 🌟🌟🌟
どなたのことなんですか?と、純粋な興味の気持ちを投げかけたら、予想に反して、サトコ様の肩がびくっと動いた。
みるみるうちに強張る顔。
明らかに動揺してる。
と、いうか。……突っついたら泣きそうな顔だ。
え。なんで??
俺は焦った。
姫を泣かすなんて、そんな大それたことしちゃダメじゃん!
「……あの……サトコ様?」
「……いや、知らねぇ…じゃなくて、……知らない……です」
サトコ様は、小さくふるふる首をふってうつむいた。
ジュンとショウちゃんと目が合う。
二人とも、首をかしげてる。
誰もサトシを知らないみたいだ。
まあ、そこまで言及することでもないか。
ミヤさんが、切迫した状況で思い出すのが男ってのが、ちょっとひっかかるけどね。
「サトコ様。ミヤさんが目覚めるまで、どうかおやすみください」
俺は、肩を震わせてるサトコ様にそっと声をかけた。
「……顔色が悪い。ミヤさんが目覚めたときに、あなたが倒れてたら、もとも子もないでしょ」
ショウちゃんが頷いて、優しく続けた。
「この部屋を自由に使っていただいてかまいません。我々は、別室におりますので、何かあったら呼んでください。後で、軽い食事も運ばせます」
「……ありがとうございます」
サトコ様が深く頭を下げた。
「大の国には、使いを出しました。安心して、ミヤさんが回復するまで、何日でも滞在してください」
サトコ様は、ふわりと微笑んで、また頭を下げた。
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「しょーもないやつなんだ、あの男爵」
忌々しそうにショウちゃんが吐き捨てた。
俺が持ってきたワインを、くぴっと飲んで、はあっとため息をつく。
どうやら、とある不届きものが、ミヤさんをさらったらしいところまでは分かった。
なんてやつだ!
俺が、一人こっそりプリプリしていたら、ショウちゃんが情けない顔になった。
「こんな事件起きたら、正直こりごりだよなあ。これで、サトコ様が俺の国に来るのひかえるようなったらたまんねぇよ……」
「いいじゃん。そん時は、松の国にご招待して、俺がサトコ様を口説く」
ジュンがにっと笑った。
「はあっ?そんなん許すかよ」
「バカ言うな。俺だって、サトコ様を嫁にしたい」
「だめ」
「だめって。そりゃズルいだろ」
不毛な会話を繰り広げる、ショウちゃんとジュン。
