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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


断言するダイゴに、俺は言葉を失った。

そんな……。
何をどうしたら、こんな絶望的な状況になんの?

俺は、呆然として真横で眠るミヤさんの顔を見つめた。

誕生日パーティーでしょ?
ミヤさん……あなた、客で来たんでしょ?
つか、あなた、国賓であるサトコ様の付きのものでしょ?
これ問題化したら、国同士変な空気になんじゃねーの?


俺が考えてることが分かるというように、ダイゴが辛そうに頷いた。

「……ショウ様の判断次第ですが。どこまで公にして問題化するかは慎重にされた方がよいかと」

「……分かった」


あまり騒ぐな、ということか。

俺は暗い気持ちで頷いた。



*******



泣き崩れた姫をどうにか休ませ、ミヤさんの体を診た医者の見立ては、予想通りのものだった。

体に残されたのは、激しい暴行のあと。
そして、抵抗したときについたのか、逃げるときについたのか、多数の擦過傷と裂傷。
あとは、打ち身とのことであった。

手当てを終え、体を綺麗にされて、ベッドに沈むミヤさんは、相変わらず顔色が白い。

あれから一度も意識を取り戻さない彼は、全てを忘れたい、とでも訴えているかのようだった。

このまま何もなかったことになればいいのに……と、強く思った。



涙を収め、毅然としたサトコ様に促され、俺は、自分が見たことを全て話した。

肝心な真相については、本人しか分からないことだから、闇の中のままではあるが。

「……でも、ミヤがここに帰ってこれたのは、あなたのおかげです」
ありがとうございました、とサトコ様に礼をいわれ、俺は、内心戸惑った。

だって、「ミヤさん」って、あのときダイゴが気がつかなかったら、俺は見捨てて来てたはずなんだ。

「いや……」

なんだか、いたたまれなくなり、サトコ様の目を見ることができない。

「それにしてもラッキーでしたね。マサキが通る道に倒れてたなんて」

ジュンが、ホッとしたようにいう。

「ミヤさんは頭がいいから…きっと、誰か通るのを狙って、倒れてたのかもしれないな……歩いて帰れる状態じゃなかったからな」

ショウがため息をついた。

「あ……」

その時、俺はもうひとつ思い出して口を開いた。

「あと……ミヤさん、ずっとうわ言のようにサトシって人の名前を呼んでました」

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