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キラキラ

第23章 🌟🌟🌟


「ぁ…サトシ……っ」

「ミヤさん……ミヤ。大丈夫、俺です……」

「サト…?」

ゆっくり優しく。
そっと、囁くように。

根気よく話しかけてると、そのうち、抱きすくめてる俺を必死て押し戻そうとしていたミヤさんの力が、ふっと抜けた。

「……?」

体をおこして、腕の下のミヤさんを見つめる。
ミヤさんは、茶色い瞳にたくさんの涙を浮かべて、じっと俺を見つめてた。

「……ぁ……」

「ミヤさん……」

「マ…サキ…王子」

うつろに開いてた目に、色がもどってる。
どうやら正気に戻ってくれたみたい。

……良かった。

俺は、ミヤさんの髪をそっと撫でた。

ちょっと馴れ馴れしいかなって思ったけど、そうしたくなるくらい、ミヤさんの目は孤独感あふれるもので。

その証拠にミヤさんは逃げない。

「……なにがあったんですか?」

静かに問いかけた。

ミヤさんは、しばらく黙っていたけれど、その瞳からすーっと一筋涙をおとした。 

……涙も綺麗だ、この人。

そんなことを思いながらも、辛抱強くミヤさんの言葉を待つ。

すると、だいぶ間をあけて……。

ぽつりとかすれた声がした。

「城に…連れていってくれませんか……」

「……ショウちゃんの城?……もしかしてショウちゃんの誕生日パーティーに来てたんですか?」

ミヤさんは、小さく頷いた。

「姫もそこに?」

ミヤさんは、また小さく頷いた。

……何があったかは気にはなるけれど。
無理矢理話を聞ける状況ではなさそう。
とりあえずは、ゆっくり体を休める場所に移動した方が得策かもしれない。

俺は上着を脱いで、ミヤさんの体にそっとかけた。

「分かりました…俺も城に行くとこだったので。しばらく横になっててくださいね」

ミヤさんは、「……ありがとうございます」と言って微かに微笑み、目を閉じた。




夜の帳が下りてきた。

暗闇のなか、ひた走る馬車。
吊るされたランプの光に浮かび上がるのは、死んだように目をつぶって動かないミヤさん。

その体を支えるように傍らに座り、厳しい顔をしている俺に、ダイゴがぽつりといった。

「……気がつかれましたか、マサキ様」

「何」

「ミヤさん……暴行のあとがありました」

「……暴力、じゃなくて?」

「はだけたシャツの隙間から。あと男の香りもします」

「……」

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