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キラキラ

第19章 バースト3

我慢してたものが一度にあふれでていくように、チカラがとめどなく、放出されているのが分かる。
凄まじい激流に翻弄されてる自分が、どうなるか分からなくて、軽い恐怖さえ覚える。
最近の中で、一番ともいえるくらいの大暴走といっても過言じゃない。

目眩とともに、目の前がホワイトアウトしていき、いよいよ怖くなって、すがるように翔の背中に手をまわした。


「仕方ねぇな……」


翔がぎゅうっと俺をきつく抱き締めなおしたのが分かった。


「跳べ」


「……っ!!」


翔の言葉に、息をとめた瞬間、白に飲み込まれたのを感じた。







「……連れてきてとは、言ったけどさあ…」


かずのため息まじりの声が耳に入った。
同時に、頬に触れる冷たい皮ばりのソファの感覚に、ふうっと意識がもどった。


「うるせぇな。色々事情があったんだよ」


翔の声もする。

ぼんやり目を開けたら、傍らに座っていた翔が、こちらをのぞきこんだ。


「お。……気がついた」
 

「……ここ、どこ」


びっくりするくらい、かすれた声が出た。

翔がちょっと笑った。


「俺んち。お前が跳んだの」


……良かった。

……全身の力が抜けた。

とんでもないとこに跳んだらどうしようと、不安だった。
無意識で、翔の家って、願っていたのだろうか。


「なんか飲む?」

翔が立ち上がって、キッチンにむかう。
うん……と言って起き上がろうとしたけど、体に力が入らず、動かない腕に、唖然とする。

あれ……


「チカラ出しすぎなんだよ。しばらく横になってろ」


そんな俺を見て、眉をさげた翔が、ペットボトルにストローをさしながら声をかけた。


「潤くん」

俺が、よっぽど情けない顔をしていたのだろう。
向かいのソファに、ちょんと座ってこちらを見ていたかずが、ソファをおりて、膝だちでにじり寄ってきた。

神経質そうな細い指が、俺の額に触れた。
つと目をあげたら、かずはニコリとした。

「…大丈夫だよ。誰にも見られてないよ。心配いらないよ」


「……うん」


「つかさあ……おまえ、もしかして俺がこわい?」

翔が苦笑いした。


え………
 
「だって。こないだから、俺がらみで暴走すること多くね?」



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