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キラキラ

第19章 バースト3


いや、だから女の子は、もちろん好きだぞ?
柔らかい胸や、細い腰には、魅力を感じるし、触りたいし、シたいとも思う。

でも……あの時の潤は、すごく儚げに見えて、ほっておけなかった。

そう。綺麗だ、と思ってしまったんだ。

思わず顔を近づけたくなるほどに。

その時の気持ちはどう説明したらよいか分からない。

「……わかんねーけど。あいつ見てたら、すっごくキスしたくなったのは事実」


「………ふうん」 


かずが、深くうなずくのを見て、改めて自分の気持ちに向き合う。


……男を好きになったわけじゃねーんだ。

多分……。


「多分……潤だから、そんな気持ちになった」


素直にそう告げると、かずが、うんうん、と頷いて、にこりと笑った。
そして、ねえ、翔さん、とかずが楽しそうに言う。


「ん?」



「潤くんのこと考えると、ソワソワする?」


「……そうだな」


うん。何してるんだろう、と気になるな。



「胸がぎゅってする?」



「……まあな」


泣きそうな顔を思い出したら抱き締めたい気持ちなるな。

 
「会いたい?」



「………何を言わせたいんだ、おまえ」



はた、と我にかえる。
まずい、かず相手に喋りすぎた。


すると、かずはふふっと笑って、首を可愛く傾けた。


「翔さん。恋だよ。恋」


「……恋?」


「翔さん恋したことないでしょ?自分から好きになるの、ひょっとして初めてでしょ」


コクられて、ひとまずつきあうのは恋愛じゃないからね、とかずがバッサリ切って捨てる。


「……」


そうなのか?


自分の過去を思わず振り返ってしまった。

そうだな。
思えば、俺が今までつきあった子は、すべて向こうからのアプローチだ。


………俺、潤のことが好きなのか?


唇をかんで、ぼんやりと蕎麦を見つめた。

皿の上に、残るあと半人前くらい残った蕎麦。

そもそも、これは、蕎麦が好きだ、と言っていた潤のために買っといた乾麺だった。
夏休みに遊びに来たときにだしてやろうと思ってた。
味見がてら、少し今日ゆがいてみたけど。

早く食べさせてやりたいな。

美味しいって、にこりとする顔がみたい……。

……って。これが、恋だってのか?

わかんねー……。



「……で、キスした潤くんの反応は?」


……楽しそうだな、おい。

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