
キラキラ
第19章 バースト3
やっぱ、俺のせいかなー…
俺は、ズルズル蕎麦をすすり、はあ…とため息をついた。
潤と最後に会った日。
つまり、ぷち失踪の日。
潤の能力によって家に帰ろうとしたあの時。
なかなか集中しきれない潤を、わざと煽った。
以前、キスして跳ばせた経験から、もう一度試してやろう、と。
結果、ちょっと囁いただけで、無事にスイッチが入ったから、そのままで良かったんだけど…。
頼りなげな顔と、不安な表情と、潤んだ瞳に、無意識に手が動き。
顎にゆびをかけて。
……キスしちまったんだよなあ…。
「え?!」
「え?」
かずが、すっとんきょうな声をあげたから、思わず顔をあげて聞き返した。
かずは、目をまん丸にしてる。
「翔さん、潤くんのことが好きなの??」
「はっ?!なに言って…」
「だって。今、潤くんにキスしたって」
「言ってねーよ!てか、おまえ俺の頭読んだな?」
「読んでないよ!今、翔さんが自分の口で言った!」
「言ってねーよ!」
「言った!」
絶対言ったもん!と、かずが、頬を膨らませて拗ねた顔をした。
この顔に、俺は弱い。
ちなみにどうでもいいが、智兄も弱い。
…そうか…そうだよな。
かずは、人の心をよむことを極端に嫌うやつだもんな。
読むわけねえか。
「絶対!!言った!!」
かずが、言い切るから、俺はあきらめて引き下がった。
「……そか。じゃあ言ったかも」
苦笑いして、つゆを、ごくんと飲んだ。
かずは、とたんに不安な顔をして俺を見つめる。
「え…。やっぱり好きなの?」
身近に男同士のカッブルがいるから、そこらへんには抵抗はないが、俺たちの関係性の変化を気にしてるようであった。
「俺も……わかんね。でも気がついたらキスしてた」
「そんなの……男相手に、気がついたら、で、キスはできないよ?」
ましてや、翔さんは女の子大好きな人でしょ。
若干、この件に関してだけは、ツンツンしながらかずが分析する。
俺の、女の子の交遊範囲を知り、いままでの経験値を知った時のかずは、ドン引きしてた。
まあ、高三にしては、経験豊富な方だと思う。
だって、モテんだもん。
最後につきあったのは、三ヶ月前に別れた女子大生。
たった三ヶ月で、性的対象が、性別ごとかわるの?とかずは言っているのだろう。
