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キラキラ

第19章 バースト3


「だから……まあ。そのへんは大丈夫。ほっとけばいい。跳ぶとこみられたのも、夢でもみたんじゃね?で、押し通そう」


どうせ、誰も信じやしねえよ、と翔は低く笑った。


「うん……」



大丈夫かなあ…消えるとこバッチリ見られたけど。俺、嘘苦手だし。



不安がいっぱいで黙りこくる俺に、翔は、コツンと拳を俺の頭にのせた。そして、大丈夫。負けんなよ と言った。


「……うん」


俺は、こっくり頷いた。



「問題は写真だな」


翔が、固い声になる。


そうだ。写真。
あれこそ、決定的。
あんなん雑誌に載ったら致命的だ。
表情までははっきりしてないから、誰かはすぐ分からないだろうけれど、どこからどうもれるか分からない。


翔はちょっと考えながら、


「まあ、それもこっちで、なんとかする。智兄とかずに協力してもらえりゃ、データのひとつふたつ吹っ飛ばすのも、わけないから」


と、言ってのけた。


……そーいうもんなのか?


「そういうもんなの」


俺の心を読んだかのように翔は言ってのけ、「よっ」と起き上がった。
ポケットからスマホを取り出し、やっべ、一時じゃん、と呟いてる。


「潤、跳べる?」


「え……」


「家からここまで、結構遠いんだ。飛ぶリスクを考えると、一瞬で帰れたら助かる」


「……うん」



たぶん跳べる…かな。
分からないけど。


不安だらけのまま、ゆっくり起き上がって、はあ…とため息をついた。



なんだか自分の能力が怖くなってきた俺だ。


跳びたくないときに跳ぶし。
チカラは暴れまわって、手におえないし。
挙げ句のはてに、他人に迷惑かけるし。



「…マジでいらねぇな……こんなチカラ」



たまらずに、自嘲気味に呟いた。
すると、翔の右手がすっとのびてきて、俺をぐっと抱き寄せた。


「……っ」


翔にもたれかかる態勢になった。

意外とたくましい腕は、力強くて。
心臓がドキドキする。


翔は低く囁いた。


「大丈夫。チカラと上手につきあえるようになるまで、とことん一緒にいてやるから」


「……」


優しく響く言葉。


ありがとう…。


黙って頷いた。

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