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キラキラ

第19章 バースト3

ずずっと、顔を背けたまま小さく鼻をすすってると、翔が「……俺も寝てみっかな」と言い、隣に寝そべってきた。
真横に感じる翔の気配。

それがどうしようもなく温かくて、すがりたくて、おれは必死で唇をかんだ。


ダメだな、俺。
頼ってばっかだ。

でも、……考えたけど、考えたけど。
もうどうしたらいいか分からないんだ。


翔が空を見て楽しそうに呟いてる。


「お。意外に星見えんだな」


「………」


「あの星はなんつったけなー」


「……翔」


「……うん?」
  

「俺……」


「うん」


「……どうしよう」


そこで初めて、翔が俺に静かに問いかけた。


「……どうした?」






北川に声をかけられたところから、今に至るまで。
俺は、空を見たままぽつぽつと説明した。
翔も空を見たまま、口をはさむことなく、うん……うん、と相槌をうち、黙って最後まで聞いてくれた。


「……そっか。跳んだあとは? 体は大丈夫だったか?」


「うん……気がついたらここに倒れてて、そのままずっとここに寝てたから」


まず、俺の心配をしてくれる。
また泣きたくなったけど、泣き虫と思われたくなくて、我慢した。
翔は、ほっと安堵のため息をついたようだった。



「……良かった。動けなくなって、どこかで気を失ってんじゃねぇかって。それを心配してたからさ」


「……ありがとう」



「もっとトレーニングつまなきゃな。おまえ」



「面目ない」



ふふふっと翔が笑う。
俺もちょっと、笑えた。


「まあ……さ。結論からいえば、その北川ってやつ。俺もマークされたことあるから、潤が目をつけられたのは、俺のせいでもあるな」



「え?」



「北川って……あれだろ?目で、人殺せそうな目力の、超美人。俺は、タイプじゃねぇけどな」


俺は、すらりとした小柄な風貌の彼女を思い出す。確かに美人だった。
美人すぎて、怖かったけど。


「俺さ。中坊の時。飛んでるとこあいつに見られたんだ。でもその時は、智兄が、黙らせた。どうやったかは知らないけど。……それから、昼間に飛ぶのはやめたって経緯がある」


「……」


「チカラ使えば、それなりにそういうリスクはつきものだからな」


翔は、ため息をついた。





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