
キラキラ
第19章 バースト3
Sho
遠慮がちにコールを何回かしてみたけれど。
智兄には、全く繋がらない。
俺は軽くため息をつき、画面をタップして切った。
まあ、想定内だ。
久しぶりに恋人とデートだもの。
お取り込み中かもしれないし。
「……携帯の電源は入ってんの?」
かずがぽつりと問う。
「うん。…あの人よく鞄に入れたままだから、気がつかないんだろうな」
「俺……話そうか?」
かずがチカラで呼びかけることを提案したが。
もし、本当にお取り込み中だったら……なあ。
「いや、いい」
「……だよね」
かずも同じことを思ったのか、じっと黙った。
俺は、手早く画面を操作し、もう一人、連絡がつかないやつにもコールする。
しかし聞こえるのは、何回も聞いた機械の女性の声。
意図的に電源をおとしてるのか、バッテリーが切れたのか不明だが、連絡が全くとれないことに焦燥感が募る。
舌打ちしてコールを切り、じっとこちらを見つめるかずに、たずねる。
「そっちは?」
「ダメ。全然反応がない」
かずが、ずっとチカラを使って繰り返し呼びかけてくれてはいるが、反応がないらしい。
意識がないのか。
あえて、無視してるのか分からない。
テレパスは、相手の反応あってのものだ。
こちらの声が相手に届いてたって、無反応ならどうしようもない。
とにかく、声をかけ続けるしかない。
「潤くん……どしたんだろ」
心配そうにかずがため息をついた。
夕方、戸惑った顔をした相葉くんが、我が家を訪れたところから話が始まる。
「潤から、連絡ありませんよね?」
すがるような目で問われ、かずと思わず顔を見合わせた。
聞けば、課題で聞きたい事があったから、潤の携帯に電話をかけたらしい。
ところが、電話にでた潤は、弱々しい声で、
「どうしよう……俺。すごいことしちまった」
と、呟いたそうだ。
相葉くんが、どうしたの?と聞いても、ため息ばかり。
しまいには、すすり泣きが聞こえてきて。
そっちに行く、と言ったら、ここがどこか分からない、と言われたのを最後に通話が途切れたそうだ。
跳んだんだろうな、というのは予測がつくが、どこか分からないなんて。
すぐ、俺もコールしたが、まったく反応はなく。
かずが話しかけても、応答はない。
潤は、今、完全に消息をたってる状態だった。
