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キラキラ

第19章 バースト3


もともと和食……特に魚。それも刺身が大好物な俺は、ここで出される刺身に感動し。
もちろん、焼き物、煮物、全てが美味しくて、もう一度来たいなって思ってた店だったから、次々と運ばれてくる料理に、箸がとまらなかった。


「美味いか?」


「うん。すっごく」


「だろうな(笑)」



嬉しそうに食べてるであろう俺を、昌宏さんはニコニコ見つめながら、俺以上の食いっぷりをみせた。



食後のデザートのメロンまでしっかり食べて、車に戻る頃には既に10時。
今から帰ったら、俺を送って、昌宏さんが自宅に着くのは12時頃だろう。



「ごめん、俺がこんなとこまで来たいって言ったせいですっかり遅くなっちゃったね」


明日も仕事なのに……と言いながら、シートベルトをすると、


「気にすんな。無理なら無理って言ってる」


昌宏さんは、笑ってエンジンをかけた。

蒸し暑い車内に、エアコンの風がふわっとまわりだす。

昌宏さんの車は、甘い匂いがする。
それは、時に俺をうっとりさせる。
媚薬でも、仕込んでない?って思うくらいに。

ちらりと昌宏さんの顔を見上げると、片方の口角をにやりとあげた彼と目があった。

「行くぞ」

暗い駐車場をヘッドライトの光が照らし、静かに車が発進した。






暗い海に並走するように長く伸びる道路。
幹線道路から一本ずれてるから、あまり車は通らない。

しばらく走らせてから、昌宏さんは唐突にぽつりと俺の名を呼んだ。


「智」


「ん?」


「ちょっとつきあえ」



視線の先には、昼間は、みんなここに止まって写真でもとれるようにできてるのかな、というような小さな広場がみえてきて。
海に向かって頭をつっこむような形で、昌宏さんは車を滑り込ませた。


「……え」


ドキリとして固まってると、横から長い指が俺のシートベルトのロックをはずし、いつのまにか自分もシートベルトをはずして自由になった昌宏さんが覆い被さってきた。

反射的にうつむいた俺。
傾けた昌宏さんの顔が、すくいあげるように俺の唇をとらえ、あっという間に舌をねじ込まれた。

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