
キラキラ
第19章 バースト3
Satoshi
会社帰り。
いつもは、最寄り駅に向かい、電車で早々と帰宅する俺だけど、今日は駅は駅でも駅前広場に向かう。
いつものベンチで、紫煙をくゆらす男前を見つけ、自然と笑みがこぼれる。
長い足を窮屈そうに組んで、ぼんやりしていたその人は、俺の姿をみつけると、微笑んで片手をあげた。
歩み寄って、詫びる。
「ごめん、待った?」
「いや、さっき着いたとこだ」
低い優しい声。
最後に深々と吸い込んだタバコを、携帯灰皿にギュッとおしつけて消し、にやりと笑って、彼は立ち上がった。
見上げるほどの長身。
足も長くて、顔も小さくて。
立ってるだけで絵になる、というのは、こういう人のことをいうのだろう。
ただでさえも小柄な自分が、必要以上に小さくみえて、並んで歩くのが時々嫌になるほどだ。
「なんかひさしぶりだね」
「そうだな。でも、智は相変わらず美人だ」
「……なにいってんの」
普通の会話にこういう台詞をぶっこんでくるから、ドキドキする。
「どこ行く?」
パーキングに向かいながら聞いてくるから、俺は、んー…と考えて、魚が食べたい、と言った。
一度、どこでもいい、と答えたら、ものすっごく洒落た高そうなフレンチレストランに連れていかれて、ビビったことがあり、それ以来、自分からいうようにしてる。
「魚か…寿司?」
「ううん。前に行った海の近くの和食の店行きたい」
「千葉か」
「ダメ?」
ドライブもかねて。
少しでも長く一緒にいたいから、なんだけど。
そんな俺のお願いを断るような彼じゃない。
楽しそうに頷いて、昌宏さんは、「少し遅くなるから、って心配性な弟に伝えておけよ」と、笑って、俺の肩を抱いた。
会社帰り。
いつもは、最寄り駅に向かい、電車で早々と帰宅する俺だけど、今日は駅は駅でも駅前広場に向かう。
いつものベンチで、紫煙をくゆらす男前を見つけ、自然と笑みがこぼれる。
長い足を窮屈そうに組んで、ぼんやりしていたその人は、俺の姿をみつけると、微笑んで片手をあげた。
歩み寄って、詫びる。
「ごめん、待った?」
「いや、さっき着いたとこだ」
低い優しい声。
最後に深々と吸い込んだタバコを、携帯灰皿にギュッとおしつけて消し、にやりと笑って、彼は立ち上がった。
見上げるほどの長身。
足も長くて、顔も小さくて。
立ってるだけで絵になる、というのは、こういう人のことをいうのだろう。
ただでさえも小柄な自分が、必要以上に小さくみえて、並んで歩くのが時々嫌になるほどだ。
「なんかひさしぶりだね」
「そうだな。でも、智は相変わらず美人だ」
「……なにいってんの」
普通の会話にこういう台詞をぶっこんでくるから、ドキドキする。
「どこ行く?」
パーキングに向かいながら聞いてくるから、俺は、んー…と考えて、魚が食べたい、と言った。
一度、どこでもいい、と答えたら、ものすっごく洒落た高そうなフレンチレストランに連れていかれて、ビビったことがあり、それ以来、自分からいうようにしてる。
「魚か…寿司?」
「ううん。前に行った海の近くの和食の店行きたい」
「千葉か」
「ダメ?」
ドライブもかねて。
少しでも長く一緒にいたいから、なんだけど。
そんな俺のお願いを断るような彼じゃない。
楽しそうに頷いて、昌宏さんは、「少し遅くなるから、って心配性な弟に伝えておけよ」と、笑って、俺の肩を抱いた。
