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キラキラ

第19章 バースト3


Jun



「あれ。潤、昨日は大野さんち行ってた?」

登校してきて自分の机についたとたん、寄ってきた雅紀が、めざとくつっこんだ。
俺は、ポケットにいれてたスマホを取り出しながら、苦笑う。


「……こえーやつ。なんでわかんだよ」


「シャンプーの匂いちがうもん」


「……はあ?女みてーなこといってんなよ……」


探偵か!とつっこみかえしたら、俺は、鼻がいいんだ、と自慢してくる。


「いいなあー。大野さんち。俺も行きたいなあ」


「………なんで」


雅紀は、両手で頬杖をつきながら、ぶうっと口をふくらました。


「かずがいるじゃん」


「へ?かず?」


予想外の返しに、目が点になる。
いや、確かに居候のかずはいつでも大野家にいるけれど。

なんで?


「あの子、超可愛くない?」


「……別に。可愛くない」


俺の課題に、容赦ないチェックをいれてるときなんか、時々鬼にみえる。
優秀な家庭教師であるとは思うけれど、可愛い要素なんか、ない。

だけど、まあ……。


「……まあ、綺麗に笑う人ではあるかもな」


ぽつりと同意してやったら、雅紀は、やれやれというように、首をふった。


「わかんないかなあ。あの白い肌に、あのうるうるな目。そこらへんの女の子よか、可愛いよ?」


「……分かんねーよ」


そんなもん分かってたまるか。
かずは、体が丈夫じゃないし、細っこいから、そうみえるだけで、絶対、強い男だぞ。


「ああー…かずに会いたいなあ」

恋する乙女のように、呟くもんだから思わず聞く。


「……おまえって、そっちだっけ?」


すると、雅紀は、にこりと笑って首をふった。


「違うよ。でも、かずは特別。一目惚れかも」


自信満々に言い切る雅紀に、俺は、唖然としてしまった。

こうも、爽やかに男が好き発言をされてしまうと。

「……」

昨日、翔にドキドキした自分も肯定してやりたくなってくるじゃないか。

だって、絶対そこらへんの女より魅力的。

イケメンで、頭がよくて、世話好きで、色気があって。

昨日チカラの制御に失敗しそうになった時の俺を助けてくれた翔なんか、マジしびれた。

あのあと、久しぶりに動けなくなったけど、その間もずっと胸をかしてくれて。

平静を保つのにはちょっと苦労したけどな。





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