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キラキラ

第19章 バースト3


そんな潤が、さっき、頼りなげにむけてきた視線は、俺を全面的に信じてすがってくるそれで。

なんとかしてやんなきゃ、というより、思わず守ってやんなきゃ、という気分にさせられた。

今もこうして腕のなかにいる潤をみてると、愛しくてぎゅうっとしたくなってくる。


これって…おかしいよな。
……女の子じゃあるまいし。


「ごめん……もう平気」
はあっとため息をついて、ゆっくり体をおこす潤に、はっと我にかえった。


汗にぬれた前髪をかきあげて、こちらを気だるげに見上げる潤は、そこらへんの女の子よりずっと色気があり、ぞくっとした。

大体にして、さっきのチカラの暴走にたえる潤の苦しげな表情なんか、情事中の女のそれにそっくりだ。
爆発は、イクことに似てるかもしれないとすら思えてきた。
だって、自分の体内をめぐるものをはきだすわけだろう?
モノが違うってだけで、原理は一緒だよな。


そんなことをつらつら考えてると、中心に熱が集まりかけて、焦って気力でそれを遮る。


やっばい。なにしてんだ、俺!


俺は、そっちじゃない!
例え智兄が、そっちだからって、俺までそうはならないぞ!


柔らかく笑う智兄の顔がうかぶ。

智兄の恋人は、大学の先輩であった、松岡さんで。
それはそれは、カッコいい…男だ。


別に俺は、それに関して、偏見はない。
自分の人生なんだから、好きにすればいいと思う方だ。
本人たちが幸せならかまわないんじゃね?って。

でも。
だからといって、自分も障害多き恋愛に陥るかは別の話。
ぺったんこな男の胸よりは、柔らかい膨らみがある女の子がいいに決まってる。


そう。俺は、女の子が、好きだ。


しかも智兄が、孫の顔を見せられないであろうから、大野家の存続は俺にかかってるしな。

だから、俺は、将来、理想の女の子をつかまえて結婚するんだ、と誓ってる。

ちょっとおバカでも、礼儀正しくて、可愛くて、料理ができて、守ってやりたい子がいい。


小さく首をふりながら、ぶつぶつ自分にとなえていると。


「……翔?」


腕の中の、潤が見上げてきて首をかしげた。


「…………」


ちょっとおバカで。


礼儀正しくて。


可愛くて、料理ができて、守ってやりたい……。


理想にどんぴしゃりなやつ…が、ここにいる。


……男だけど。










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