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キラキラ

第15章 1000回言って

****後日*****


N


「ねえ、向こうの世界って楽しかった?」

俺は、スマホを弄ってる潤くんの、横に座って聞いてみた。


「は?んなわけねえじゃん」


潤くんは、嫌なことを思い出させるな、と言わんばかりに盛大にしかめ面をした。


お互い違う世界に飛ばされた、ということは知ってた。
でも、なんとなく思い出したくないが故に、タブーみたいな感じになってたから、聞けなかったんだよね。


でも。………最近ちょっと気になるんだ。

潤くんは、楽しんでたって。どういうことなのか。


「あの緑のやつが、言ってたもん」


「緑の………ああ、あいつか」


思い出したのか、「あいつ、次にあったらぶっ飛ばす」と潤くんは、物騒なことをいう。

いや、まあ、俺も同じ意見だけどさ。


「あいつ、潤くんは、翔さんにもう一度恋した顔してたって言ってたから」


「……………」


すると、潤くんは、一瞬絶句したように固まり、………そのあと真っ赤になった。


おや。


「…うるせえよ」


潤くんは、小さく吐き捨てた。


へえ……………。


「やっぱり楽しかったんだね?」


「楽しくねえし!」


潤くんが、説得力ゼロな顔で、言い返してきたけど。


どんな世界だったんだろう?




*****


A



「なあ、雅紀」


「ん~?」


コーヒーを手に、翔ちゃんが首をかしげる。


「……………最近おまえツヤツヤしてんな」


「そう?」


俺は、思わず自分の肌に手をやった。


「毎日、にのちゃんと愛しあってるからかなあ………?」


呟いたら、翔ちゃんが、ぶっとコーヒーをふいた。

「わあっ ちょっと!」


抗議すると、翔ちゃんはゴホゴホ言いながら、ごめん。とそのへんをティッシュで拭きながら苦笑した。


「…………毎日かよ?元気だな」


俺は、ちょっと肩をすくめて首をふる。


「………違うんだ。最近にのちゃんが、眠るの嫌がるから、気を失うまでつきあってあげてんの」


すると、翔ちゃんが目を丸くして呟いた。


「………潤もだ」


「え? おたくらも毎日してんの?」


「してねえよ!してねえけど、あいつも眠るの嫌がって、無理矢理、酒飲んだりしてたから、それじゃ、だめだって。一緒に………寝てる……」

最後は小さくいう翔ちゃんが可愛い。

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