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キラキラ

第15章 1000回言って

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ガチャガチャガチャ………バタン


騒がしく、と、表現するのがぴったりな鍵の開ける音に、目を開けた。

俺は、ふかふかのグリーンのソファに寝転んでいた。
それだけで、相葉さんちだと分かる。


「……………」


腕に抱き込んでいるのは黄色と緑のストライプ柄のクッション。

……………自分のだ。


「あれー? にの、来てんのー?」


バタバタと玄関から賑やかに歩いてくる足音とともに、俺の大好きな元気な声がした。

俺は、ゆっくりと体を起こして、リビングの入り口を見た。
同時に、満面の笑みをした相葉さんが入ってくる。
黒のダッフルコートがよく似合ってる。
寒い外から帰ってきたばかりだから、頬が少し赤くなってる相葉さんは、グレーのマフラーをはずしながら、にこにこと続けた。


「来るって言ってくれたら、もっと早く帰ってきたのに」


「……………相葉さん」


「んー?」


分かる。

これ、俺の相葉さんだ。


……………帰ってこれた!


「なあに?……………って。なに!どしたの。にのちゃん?」


相葉さんがビックリした顔をして俺に近づいてきて、隣に座った。
ふかふかのソファが、揺れて、俺も揺れた。
揺れた拍子に、頬からパタパタっと涙がおちた。


「どうしたの。なんで泣いてんの……………?」


俺は、首を振ることしかできなかった。


駄目だ。泣いてばかりだ、俺。
こんなに泣くキャラじゃねえのに。
相葉さんも困ってんじゃん……………。


だけど、嬉し泣きなのか。
安心したからなのか。
よくわからないけど、相葉さんの声を聞くだけで心がじわっと温かくなり、涙が次から次へと出てきてしまうんだ。



「にの……………?」


「………………会いた………かったんだ」


「ええっ……………俺に?」


「……………うん」


別れて、まだ、十数時間しかたってないよ?、と
楽しそうに言って、相葉さんは俺を抱き寄せた。


温かい腕と広い胸といい香り。
先ほどまでくっついていた、別の相葉さんと一緒。
でも違うのは。


「……………にの」


優しく俺の名を呼ぶ声。

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